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プレミアで“大空翼”になった岡崎慎司。
2度目のオーバーヘッドは風邪のお陰? 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byYusuke Mimura

posted2016/03/17 10:30

プレミアで“大空翼”になった岡崎慎司。2度目のオーバーヘッドは風邪のお陰?<Number Web> photograph by Yusuke Mimura

岡崎のオーバーヘッドは、ドイツの新聞一面を独占した。ピッチをボールが左右に飛び交う間もスペースを探し続けていたことが報われた形だ。

オーバーヘッドは2回目。しかし今回の方が重い。

 プロになってから、いわゆるオーバーヘッドのゴールを決めたのはこの日が2回目だ。前回は、シュツットガルトでプレーしていた2012年2月19日のハノーファー戦。2-4と敗れた試合だった。あの試合のゴールの方が難易度は高いと分析しつつ、岡崎は今回のゴールの重みをこう表現した。

「シチュエーション的には、(今は)首位で、勝ちにつながるゴールですから。あのときは1-4から2-4にしただけのゴールだったんでね」

 ハノーファー戦のゴールは、ドイツの公共放送『ARD』のスポーツ番組が視聴者の投票を集計して決める月間最優秀ゴールに選ばれている。記念のメダルも授与された。望んでも、簡単には手の届かない栄誉だった。

「すげぇ、って50回くらい見返すと」

 しかし、である。岡崎自身は、たとえば2009年に日本代表で南アフリカW杯出場を決めたウズベキスタン戦のゴールの方が大きな価値を持っていると考えている。DFラインの裏に飛び出して放ったシュートを一度はブロックされたものの、その跳ね返りを頭で押し込んだゴールだ。

 あきらめない気持ちが生んだもので、チームに勝利とW杯出場権をもたらした。そして、ストライカーとして自分の動きにあわせてパスを出してもらえたからだ。

「たぶん、すげぇ、って50回くらい見返すと思うんですけど(笑)」

 ニューカッスル戦のゴールについて試合後にそう語ったし、ホームで初めて決めたゴールとしても、ファンだけではなく岡崎の記憶にも残るものになるだろう。

 でも、岡崎はそれだけでは満たされないだろう。

 自分の特長が出て、チームのためにもなって、ストライカーらしいゴール。岡崎は何よりもそんなゴールを評価する。そんなゴールをいくつも決めるために、彼は今日も戦っているのだ。

 試合が終わってから1時間と少したったころ、エースのバーディーがスタジアムから出てきた。サインをもらおうと待機していたファンたちが一斉に歓声を上げた。リーグの得点ランキングトップに立ち、今季のレスター躍進の立役者へのリアクションとしては当然のものだろう。

 その直後、岡崎が姿をあらわした。

【次ページ】 バーディーに負けない歓声、そして笑顔。

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