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ドイツ時代とは心境がまったく違う!
岡崎慎司がプレミアで得た境地とは?
posted2016/03/17 18:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Tomoki Momozono
その献身性やハードワークが評価される一方、本人にはそれとは違うものを求める“野心”があった。
Number898号では、岡崎に継続的に取材をしている寺野典子氏がその言葉を伝えています。
前半25分、見事なオーバーヘッドキックで、ゴールを決めた岡崎慎司。そのスーパープレイに英国はもちろん、世界中のサッカーファンが魅了された。
3月14日、現地時間20時にキックオフされたプレミアリーグ、レスター対ニューカッスルの一戦。リーグ首位を走るレスターを相手に、19位と低迷しラファエル・ベニテス新監督が就任したばかりのニューカッスルは健闘を続け、レスターを苦しめていた。
そんな状況を打開する岡崎の先制点は、結果的に決勝ゴールとなり、奇跡のプレミア制覇へと邁進するレスターの象徴として、メディアでも大きく取り上げられた。守備でも手を抜かないハードワークや運動量の豊富さ、献身性を讃え、サポーターから愛される日本人を紹介した。
「ゴールが決まるか決まらないかが俺の人生を左右する」
しかし、数カ月前から岡崎は「守備とかハードワークを褒められても嬉しくはない」と語り、ゴールへの強い執念を口にしていた。3月1日のウェストブロムウィッチ戦では、絶好のヘディングシュートをバーに当ててしまい、「ゴールが決まるか決まらないかが俺の人生を左右する」と大きな落胆を見せた。
9試合連続で先発起用されているにもかかわらず、7試合ゴールのない状況で迎えたニューカッスル戦。前日から体調を崩し万全とは言えなかったが、出場機会を逃したくないと不調を隠してピッチに立ち、自身の苦境を打開する一発を決めてみせた。
ドイツ国内の強豪クラブのオファーではなく、残留争いを強いられる可能性もあるレスターからの誘いに応じ、2015年夏プレミアリーグへ移籍。「新しい環境で闘うことでしか得られないものがある」と挑戦した岡崎は、予想外の快進撃を続けるレスターの一員として、試行錯誤の日々を送っている。
今季、そんな岡崎に月に一度、話を訊き、彼の思考を追う機会に恵まれた。