球道雑記BACK NUMBER
細い体、遅いテンポ、踵に重心――。
ロッテ・二木康太が“隙”を2年で克服。
posted2016/03/15 10:40
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
NIKKAN SPORTS
今からちょうど2年前、新入団選手だった頃の彼に話を訊かせてもらったとき、失礼な話ではあるがこんなに早くプロで頭角を現すとは思っていなかった。
今年で高卒プロ入り3年目を迎える千葉ロッテ・二木康太のことである。
当時のことを振り返ってみると、プロの投手としてはやや物足りなさを感じる長くて細身の体、育成に慎重にならざるをえない長い手足、ドラフト6巡目の下位指名……。
そうした視覚から入る先入観に、当時チーム関係者の多くが「まず身体づくり」という方向性を示していたことも重なって、昨年から今年にかけての彼の急成長は想像できなかった。
プロ1年目、彼の登板数はファーム(イースタン・リーグ)で投げたわずか2試合のみで終わっている。イニング数もこれまた2イニングのみと、怪我もなく1年間を過ごした投手としてはなんとも物足りない数字だ。
それが、2年目を迎えた昨季はいきなりイースタンで26試合に登板し、投げたイニング数も94イニングと、前年度と比較にならないほど数字を伸ばしている。さらに昨シーズン終盤には一軍昇格も果たし、10月5日のホーム最終戦(北海道日本ハム戦)ではロングリリーフを任されて、5回を4安打1失点の好投を見せ、今季の飛躍に弾みをつけていた。
この2年間でいったい彼の身にどんな変化があったというのだろう。
二木がこれまでを過ごしたロッテ浦和球場で、関係者に話を訊いてみることにした。
名伯楽・小谷正勝コーチが見出していた、二木の才能。
「彼の場合は長期計画で考えていたけどね。それが思っていたよりも早く体が出来上がってきたから……」
そう話すのは、二木のプロ1年目から指導を続けている小谷正勝二軍ピッチングコーチだ。
「最初の1年間はゲームに出すのも我慢して、色々とやらせたのは1年半過ぎたあたりから。その頃から違うことにもトライさせてきたけど、最初から色々言うと体が痛んでしまうからね。あえてやらせなかったんだよ」(小谷コーチ)
関東4球団を渡り歩き、これまで数多くの投手を世に輩出してきた名伯楽は、二木の肉体的、および精神的な成長を待って次の段階へ進むべきかどうかを常に判断してきた。