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帝京・岩出監督とエディーの共通点。
“大学7連覇”で挑む1.31日本選手権。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTsutomu Takasu
posted2016/01/28 12:30
帝京大学は東海大学を27-17で下し、大学選手権7連覇。1月31日の日本選手権ではトップリーグ王者・パナソニックに挑む。
「日本ラグビーが次の段階に進むには……」
エディーへの称賛は、そのまま自身への肯定に聞こえないこともない。日本代表と帝京大学の相似――そういえば、岩出監督もエディーも元々は教師だ。ひょっとしたらふたりの思考は似ていて当然なのかもしれない。
「ただし、無駄なこともたくさんしていたと思います。日本ラグビーが次の段階に進むには、あのやり方のいいところを継承し、みんなが納得できる形で長続きできるよう、より科学的にやっていくことが必要です」
では未来のため、大学ラグビーにできることとは何だろうか。巷には大学ラグビーが若い世代の育成の妨げになっているとする意見もあるが、岩出監督はそれを真っ向否定する。曰く――自分は大学職員であり、まずは学生の将来を考えねばならない。だから、プレーで生計を立てられる一部の学生のために大学の環境を変えることはできない。
大学世代も世界の日程とリンクする方法を。
つい混同しがちだが、岩出監督の仕事は一部のラグビーエリートを育てることではない。だが、日本ラグビーの未来を思う気持ちは、ラグビー関係者なら誰もが持っている。岩出監督はひとつだけシンプルな改革案を提示してくれた。
「すぐに変えるべき部分を挙げるとしたら、それはスケジュールです。若い世代の強化については、ラグビーに特化できる選手を世代別に集め、いいコーチングをすることが必要です。しかし今のスケジュールでは大学側が選手を出しにくい。大学のシーズンが終わってからU20のシーズンを始めるなど、一貫したコントロールが必要です。大学世代も世界の日程とリンクする方法を考えなければならない。日本ラグビー界全体のマネージメントが必要です」
日本ラグビー界が抱える構造的欠陥として、育成の構造が日本代表を頂点とするピラミッドになっていない、という点が挙げられる。U17、高校代表、U20など各世代の代表もあるにはあるが、その活動がバラバラで一貫した指導体制にはなっていない。まずはスケジュールの段階から、統一感のあるマネージメントが必要なのだ。