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帝京・岩出監督とエディーの共通点。
“大学7連覇”で挑む1.31日本選手権。
posted2016/01/28 12:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Tsutomu Takasu
Number894号「日本ラグビー『再生』“エディー後”のジャパン。」では、その帝京大を率いる岩出雅之監督へのインタビューを敢行している。
東海大学との決勝戦を力で制し、ラグビー全国大学選手権7連覇。もはや大学レベルには敵なしと思えるほどの強さを誇る帝京大学を率いるのが岩出雅之監督だ。
学生時代は日本体育大学のフランカーとして大学王者を経験し、卒業後は高校ジャパン監督などを経て'96年に帝京大学監督に就任。'09年度に帝京を創部以来初めての大学王座に導き、以来、学生の入れ替わりをものともせず連覇を続けている。
岩出監督の強化の真髄は、徹底したマネージメント術にある。同大学の医療技術学部スポーツ医療学科教授でもある岩出監督は、血液検査や体組成計測など選手へのきめ細やかな体調管理を'02年から導入し、その上でフィットネスやフィジカルのトレーニングを施して戦う肉体を作り上げてきた。
エディー・ジョーンズを彷彿とさせる方法論。
その成果は、選手たちの身体を見れば一目瞭然。他大学よりも明らかに大きい選手がさらにグラウンド上でハードに鍛えられるのだから、その盤石の強さも納得してしまう。
まず強い肉体を作り、鍛え上げる。岩出監督の徹底した方法論は、どこかエディー・ジョーンズの日本代表を彷彿とさせるものがある。
大学ラグビーを究めたとも言える岩出監督は、日本ラグビーの未来をどう考えているのか。そんな疑問をぶつけるべく、東京・日野市のクラブハウスを訪ねた。
「エディーさんの厳しさ、これは絶対に必要だったと思います」
岩出監督が口にしたのは、エディーへの肯定の言葉だった。
「肉体的な面だけ見ても、就任の前後で選手の体つきが明らかに変わっていた。しっかりトレーニングしたからです。それに、日本人の特徴もうまく押さえていた。厳しい指導で抑圧されていた選手たちの闘志と自由が最後に出て、南アフリカ戦は最高の出来でした。あれが日本人らしさかもしれません。
日本人は爆発するのが遅い。でもコツコツと積み重ねる力はある。努力を続けていると、表に出そうという意欲が出てくる。だから指導者が妥協するチームは弱い。エディーさんはやりきったと思います」