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初出場のメドベデワ優勝、宮原が2位。
ファイナルで見た、各選手のドラマ。 

text by

田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byAsami Enomoto

posted2015/12/16 11:30

初出場のメドベデワ優勝、宮原が2位。ファイナルで見た、各選手のドラマ。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

初出場の宮原は大会後に「緊張しても落ち着いて演技ができ、自信になりました」「絶対に跳べる構成になっているので」とコメントした。

宮原はSP4位からスタート!

 17歳の宮原知子はSP『ファイアーダンス』でノーミスの演技だったが、NHK杯に比べると若干勢いに欠ける印象で、珍しく3フリップに不正エッジのマークがつけられた。それでも68.76で浅田真央に次いでSP4位スタートとなった。

「6分間から緊張していて、公式練習ほどよいジャンプができなくて、自分では回転不足だったかなと思っていたので、点数的には良かったかなと思っています」

 今シーズンのSPをフラメンコで披露したのは、ファイナルがスペイン開催であることを特に意識したわけではなく偶然だったのだという。だがバルセロナの観客を前にして「フラメンコを勉強してきたんだな、というのをわかってもらおうと思って演じました」と語った。

宮原のジャンプは、とにかく緻密で正確。

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 フリー、フランツ・リストの『ため息』はローリー・ニコルによる振付で、指先まで神経の行き届いた優雅な滑りだった。宮原は3ルッツ+2トウループ+2ループからはじまり、最後の2アクセル+3トウループまで、あせることなく一つ一つのジャンプを着実に決めていった。

 驚くほどの高さはない代わりに、テイクオフから空中の姿勢、体を開いて回転を止め、降りてくるまで一糸乱れない端正なジャンプである。フリーでは女子6人の中で唯一、回転不足も不正エッジも取られなかった。スピン、ステップもSP、フリー通してすべてレベル4で、丁寧で清潔感のある滑りだった。

「だいぶ落ち着いて滑れた。ジャンプは降りた感触が良かった。135点を目標にしていたので、いっきに超えたのでちょっとびっくりしました」

 相変わらず声は小さく、報道陣に囲まれると少し恥ずかしそうである。それでも彼女が着実に自信を積み重ねてきたことが、言葉の端々からうかがえた。

「NHK杯が自信になった。(スケート)アメリカであまり良くなかった演技が、自分をもっと頑張らないと、という気持ちにさせてくれました。あとはSPの70点台ができていないので、いろいろな課題を見直して頑張っていきたいです」

 フリーで140.09、総合208.85で自己総合ベストスコアを更新。堂々と2位に輝いた。

【次ページ】 16歳のメドベデワが独走優勝果たす。

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