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宇佐美貴史の欧州挑戦を阻む「猫背」。
ルーニーの姿勢の使い分けを学べ! 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2015/11/24 11:00

宇佐美貴史の欧州挑戦を阻む「猫背」。ルーニーの姿勢の使い分けを学べ!<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

宇佐美貴史の「特別さ」を疑問視する者は誰もいない。あとは弱点をカバーする方法を覚えるだけだ。

ドリブルにスピードの強弱をつけるための姿勢とは。

「日本人の多くの選手は姿勢が悪く、だからスピードの強弱がつけられない。守備者から見ると、同じリズムのドリブルというのは予測しやすい。日本でドリブラーと呼ばれる選手が、欧州に行くと簡単に抜けなくなるのはそこに原因があると思います」

「実は走るという動作において、スピードの上げ下げはメチャクチャ難しい技術なんです。たとえば陸上の長距離。日本の選手はペースメーカーをつければある程度戦えるんですが、なぜ五輪や世界選手権で結果が出ないかと言えば、そこでは細かな速度の上げ下げが延々と繰り広げられるから。途中でついて行けなくなってしまう」

「速度を低い状態から上げるっていうのは、本当に体に負担がかかる。フォームが悪いと、力を浪費しながら走らざるを得ない。一方、ランニング技術が高いと、スピードを上げやすく、さらに疲れづらい」

「クリスティアーノ・ロナウドは、ドリブルを仕掛けるときに逆に姿勢が良くなる。日本にはボールを持てる選手はいるんですけれども、姿勢が悪いがゆえにスピードの強弱をつけるのが苦手な選手が多いと思います」

 あくまでこれは一般論としての指摘だが、宇佐美にもあてはまるのではないだろうか。姿勢が悪く、それゆえに速度の強弱がつけにくく、相手のレベルが上がると簡単には抜けなくなってしまう。

宇佐美の不自然な姿勢は武器にもなっている。

 ただし話が複雑なのは、姿勢の悪さが、シュートに限れば武器になっている部分があるということだ。

 サンフレッチェ広島や川崎フロンターレでトレーナーを務めた西本直氏は、宇佐美の姿勢の悪さに課題を感じながらも、同時にシュート時の体の使い方に驚きを覚えた。

「宇佐美選手は不自然とも言える姿勢から、目の覚めるようなパスや強烈なシュートを打つことができる。体を丸めたまま、膝だけで蹴る感じです。それによって、普通なら正確に蹴ることができないような体の近くにあるボールでも強く打てる。守備者からしたら、相当タイミングやコースを読みづらいはずです」

 ゴール近くでボールが足元にさえ収まれば、トリッキーなシュートを素早く打つことができる。ある種の点取り屋であり、もし王様としてゴール前に留まることが許されれば、日本人FWの概念を覆せるかもしれない。

【次ページ】 ルーニーの姿勢の「使い分け」が参考になる?

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