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ソフトバンク「三軍」出身者たちの矜持。
トライアウトで見せた“再生工場”の力。 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byGenki Taguchi

posted2015/11/11 11:50

ソフトバンク「三軍」出身者たちの矜持。トライアウトで見せた“再生工場”の力。<Number Web> photograph by Genki Taguchi

トライアウトが、チームのユニフォームを着る最後の機会になる選手もいるだろう。

NPBへの想いを最も発散させていた選手は?

 今年、トライアウトに参加した選手の中で最もわかりやすい形でNPBへの想いを示していたのが、元ソフトバンクの白根尚貴(22歳)だった。

 プロ3年目の昨年オフに戦力外となり、育成枠として再契約を結んだ。今季、二軍ながら59試合に出場し打率2割7分4厘とまずまずの成績を残したが、再び育成での契約更新を球団から告げられたことで、白根は自らの意志でトライアウト参加を決断した。

「支配下(ドラフト4位)で獲ってもらって球団にはお世話になったんですけど、そのプライドがあるといいますか、育成としてやっていくことが自分では許せなかった。『支配下選手としてプレーしたい』という想いが、こういう行動になったんだと思います」

 トライアウトでは7打席に立ち、レフトフェンス直撃の二塁打、右中間への三塁打、センター前の3安打。持ち味である打撃でアピールに成功した。

ソフトバンクの三軍は、完全な育成機関。

「誰よりも目立っていたと思う」

 白根が自信に満ちた表情で手応えを語る背景には、今季、数多く実戦を経験してきた自負があるからだ。二軍での59試合に加え、三軍でも52試合に出場し3割3分5厘、6本塁打、30打点をマークした。白根はこう断言する。

「二軍と三軍で100試合以上に出られたこと、そこで多く経験を積めたことも、トライアウトに参加する大きな理由にはなりました」

 今季、圧倒的な強さで2年連続の日本一に輝いたソフトバンクのバックボーンについて、「三軍制度」が要因として挙げられている。

 他にも三軍を設けている球団はあるが、ほとんどは故障者のリハビリなどを目的とした場所といっていい。だが、2011年から本格的に始動したソフトバンクの三軍は、完全なる「育成機関」である。

 NPB各球団の所属選手は、育成枠を含め70人以上。一軍に登録される28選手を除くと半分以上の選手が2軍になるわけだが、そのなかでも試合に出られる人数は限られてくる。必然的に数十人の選手が余剰戦力となってしまい、プロで十分な実戦を積むことを許されないまま戦力外となる者も少なくない。

【次ページ】 SB組でただ一人一軍経験のある日高亮。

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