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あの“細かすぎるモノマネ”芸人が、
四国ILのトライアウトで真剣勝負! 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byGenki Taguchi

posted2015/11/04 10:40

あの“細かすぎるモノマネ”芸人が、四国ILのトライアウトで真剣勝負!<Number Web> photograph by Genki Taguchi

「放課後3時から遅くて11時まで練習していた。休日はずっと練習だった」と高校時代を語る杉浦。

「僕は一度、真剣な野球から逃げてしまった」

 杉浦が野球に対してどれだけ真剣なのかは、彼と同じチームでプレーする草野球仲間から聞いたことがあった。

「野球している時の双亮さんはすごく怖いですよ。『積極的なエラーはいいけど、消極的なエラーはダメだ!』と、本気で怒りますからね。モノマネとか面白いことは一切しないですし、真面目そのものです」

 トライアウトリーグの参加費用だって決して安くはない。宿泊費などの諸経費も含め、その額はおよそ20万円。芸人としての知名度はある。しかし、それほど収入があるわけではないという杉浦は、友人たちから借金してまでお金を工面した。

 これらの要素を述べたところで、杉浦の真剣な取り組みが完全に理解されるわけではないだろう。だが彼は、「自分のなかで答えを出したいんです」と切実な想いを漏らす。

「トライアウトに参加するほとんどの人が、独立リーグを足がかりにNPBの球団からドラフトで指名されたいと思っているだろうから、本当に真剣なはずなんです。僕は一度、真剣な野球から逃げてしまった。元々お笑いが好きだったから今の仕事をやらせてもらっていますけど、トライアウトという環境で野球をすることで、自分の考えとかやってきたことを確かめたい、その空気をもう1回肌で感じたいっていうのがあるんです」

「プロ野球選手を真似れば打てるんじゃないか?」

 杉浦にとってトライアウトの挑戦とは、可能性を見極める作業でもある。

 今では杉浦の代名詞となっている助っ人外国人のモノマネも、元をたどればプロの圧倒的なスケールに魅了されたからだった。

 中学時代に東京ドームで見たイースラーの特大アーチに心躍らせ、部活動でもダイエー(現ソフトバンク)のバナザードやアップショーのフォームを研究しては、自分にとって理想の形を追い求めた。杉浦は言う。

「『プロ野球選手を真似れば打てるんじゃないか?』っていう認識があったんでやったんです。それが、フォームが特徴的な外国人ばかりだったって話なんです」

 それがネタとして周囲に認知されるようになったのが、野球の名門・帝京高校に入学してからだ。1年時のクラスメートで後にコンビを組むこととなる山内と各教室を訪問し、助っ人外国人のモノマネで生徒たちを沸かせた。<ヴェー、ヴェーヴェーヴェー!>とバースの応援歌を口ずさむようになったのもこの頃からで、理由は「他の選手よりも尺が短く覚えやすかったから」だそうだ。

 まるで、同校野球部の大先輩である、とんねるずの石橋貴明のようだ。彼は高校時代、練習試合でプロ野球選手のモノマネをしては前田三夫監督の逆鱗に触れた逸話がある。杉浦もまた、紅白戦でフィルダーのモノマネを披露し、監督の失笑を買ったという。その打席ではサードゴロだった。

【次ページ】 帝京高校では最速141キロまで伸びた速球だが。

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