錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER
シーズンを通して戦い続ける難しさ。
錦織圭、ファイナル2年連続出場への道。
text by

山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2015/10/30 18:25

スイスのバーゼル大会は右肩の痛みで欠場だが、ツアーファイナル出場は“ほぼ”確定の状況。
決してもう若手ではない錦織が、8人中最年少。
結局、勢力図はほとんど変わっていないといっていい。8人中4人が30代で、決してもう若手ではない錦織がこの中では最年少になる。他の7人は、錦織がプロの世界で最初にブレークした18歳のときに少なくともトップ20、多くはトップ5の経験がすでにあった強者たちだ。
錦織が頂へもう一度近づくために自分自身が必要だと考える〈経験〉と〈時間〉を、それだけ積み重ねてきた熟練者たちである。25歳の錦織が挑戦してきた、そしてこれからも挑まなくてはいけない壁の厚さを物語っている。
ところで、この7人の中で最初に錦織が対戦したのはナダルだった。錦織18歳のときだ。まだ100位も切っていなかった小柄な日本人の若者について、当時世界2位のナダルはこう断言したのだった。
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「昔の僕より数段いい。彼はいずれトップ10、いや、トップ5になるよ。100%間違いない。彼に必要なのは時間だけだ。他に必要なものは全部持っている」
類い稀な才能同士、響き合うものがあるのだろうか。実際その通りになったことには今さらながら感動するが、そのナダルも言わなかったトップ3、さらにその上を目指す来シーズンに向け、残り2大会での収穫が意味するものは実に大きい。
