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ロシアW杯も「どこかでベテランが」。
J1通算500試合出場、中澤佑二の夢。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/10/23 10:30

ロシアW杯も「どこかでベテランが」。J1通算500試合出場、中澤佑二の夢。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

代表戦からは4年ほど離れている中澤だが、国際Aマッチ110試合出場は川口能活に次ぐ歴代4位、17得点は同13位だ。

「新人、若い子には絶対負けらんねえ」

 むらのないパフォーマンスの裏には、むらのないモチベーションがある。

 真剣に、明るく、全力で。練習に臨む前向きな姿勢はマリノスに移籍した当初とあまり変わっていないというのが筆者の印象だ。

 彼は言った。「単に負けず嫌いなだけです」と。

 そしてちょっと間を置いてから、言葉が続いた。

「毎年入ってくる新人に絶対に負けらんねえ、若い子には負けらんねえっていう(気持ち)。それにセンターバックは(栗原)勇蔵、ファビオ、カンペエ(冨澤清太郎、今季途中にジェフユナイテッド千葉へ移籍)たちがいて凄く豊富で、みんなのいいプレーを見て“いいな。でも負けらんねえや”って。

 それに(齋藤)学みたいに活きのいい若手と(練習で)対峙して抜かれてしまったときに悔しいなっていう自分がいるんです。学だからしょうがねえよって思う人もいるかもしれないけど、止められなかったっていう悔しさが自分にはある。それがある以上は、(現役を)続けるでしょうね」

 心に火をつけるその思いがコンディションとモチベーションを高いレベルで保たせ、ひいてはそれが試合へとつながっている。

ブラジル留学時代より辛いことなんてない。

 自分の心をくすぐるために、空いた時間には読書をすることも多い。

「南アフリカW杯でベスト4」の目標をチームで掲げたとき、「“できる、できないじゃなくて、やるか、やらないか、だ”っていう、いい言葉を見つけたんです」と教えてくれたことがあった。ピンと来る言葉に出会うと、メモに書き写したりするという。

 負けず嫌い――。

 その原点は、ブラジルのFCアメリカに留学していた無名時代の10代のころにあるのかもしれない。2010年の南アフリカW杯を前にインタビューした際、当時を振り返ってくれたことがある。

「苦しかったですね。11対11のサッカーが、10対11になっていましたから。というのも、パスは回ってこないし、ドリブルしようものなら“早く出せよ”って怒られる。相手にされていなかったんです。チームプレーなのに排除される辛さ、惨めさを味わうと、それからはどんな状況に立たされても“あのときよりは幸せ”と思えるようになりました。

 だからケガをしたり、何かマイナスな要素が自分に降りかかったとしても、辛かった時期のことを思えば励みになるし、前向きにもなれた。もちろん辛かった経験ばかりじゃなく、そのなかでも楽しかったなっていう思い出もありますよ。そういうことが、どこか自分のなかでエネルギーになっている気がするんです」

【次ページ】 ロシアW杯に「能活さんみたいな立場で」。

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