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ロシアW杯も「どこかでベテランが」。
J1通算500試合出場、中澤佑二の夢。
posted2015/10/23 10:30
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
日産スタジアムのトラックで、187cmの大きな体が照れくさそうに宙を舞った。
10月17日、ヴィッセル神戸から終盤に2点を奪って逆転勝ちした横浜F・マリノスの選手たちは試合後、J1通算500試合出場達成の中澤佑二を胴上げするサプライズを用意していた。
記録の先には600試合出場の楢崎正剛がいるのに何故、胴上げを?
そんな疑問は野暮というもの。マリノスの「堅守」を支えてきた彼に対するリスペクトの表れが、胴上げという形になっただけのことだ。中澤に勝利をプレゼントしたいという気概が、この日のマリノスからは感じられた。
37歳の鉄人は、衰えを知らない。
昨季は史上最年長となるリーグ戦34試合フルタイム出場して、リーグ最少の29失点に貢献。もらったイエローカードは1枚のみだった。今季もここまで31試合フルタイム出場中で、イエローは1枚ももらっていない。チームの失点数はFC東京(29失点)に続いて2位タイ(サンフレッチェ広島と同じ30失点)。安心、安定の“中澤株”に、陰りの色は見えない。
「栄養、練習、睡眠」に一切の妥協はない。
むらのないパフォーマンスの裏には、むらのないコンディションづくりがある。
朝は6時に起床。クラブハウスには朝早く到着して練習前の準備を整えている。練習で100%をぶつけたうえで、足りない要素があれば居残りで取り組む。
栄養書で栄養を学び、食の知識は豊富。自宅にいてもストレッチは欠かさない。睡眠時間も十分に取り、「栄養、練習、睡眠」に一切の妥協なく日々を送ってきた。
ただ、Jリーグデビューから17年、年齢に沿ってコンディションの整え方も少しずつ変化させてきたという。
試合後の取材エリアで彼は、こう語っている。
「若いときと同じようなことをやっていたら体はもたないし、いいプレーも続けられないと思う。自分にいろんな変化を与えながら、いい刺激を与えながら、やっている部分はありますよね。同じ(トレーニング)メニューを十何年やってきたわけじゃなくて、同じメニューにプラスして、上に乗せているような感じなんです」