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松山、石川、岩田が戦う“格差社会”。
三者三様の異なるスタートライン。 

text by

桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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photograph byAFLO

posted2015/10/25 10:30

松山、石川、岩田が戦う“格差社会”。三者三様の異なるスタートライン。<Number Web> photograph by AFLO

「苦戦」というイメージで語られることが多い石川遼だが、PGAツアー上位125人のシード選手である。

3人のスタートラインは、実はまったく違う。

 しかし、それは“横一線のスタート”では決してない。同じ舞台で戦う3人の間には、それぞれ別のスタートラインが存在するのである。

 大会初日。ツアーメンバーとしての第一歩を踏み出した岩田のラウンドは暗闇の中で終わった。

 同じように入れ替え戦を突破してきた選手2人との組に入った岩田は、この日最後の組でプレーした。週末の決勝ラウンドの組み合わせはスコア順で決まるが、予選2日間の組み合わせはツアーや主催者による恣意的なもの。天候による中断がなかったにもかかわらず、前の組の進行が遅れ、18番のバーディパットを残して日没順延を余儀なくされた。

 ティグラウンドで打球の行方を知らせるボランティアスタッフは、この最終ホールで、いずれの選手のボールについても「どこに飛んだか見えない」と両手を振っていた。宵の口のロープサイドでは、既に泥酔しきったギャラリーが奇声を発して怒られていた。

 岩田は予定されていた午後2時にティオフしたが、この日の日没予定時刻は午後6時31分だった。プロの試合では1組3人で回った場合、1ラウンドで4時間半前後かかる。ホールアウトが可能かどうかは、そもそも微妙だったのである。

岩田が痛感する、シードの2人との境遇差。

 対してほかの2人はどうか。

 石川は初日午前にスタートし、2日目は最終組から2組前。日没を気にすることなくホールアウトした。そして松山はシャール・シュワルツェル、スティーブン・ボーディッチと同組で予選をプレー。全員が前週のプレジデンツカップで世界選抜の一員だった目玉の組のひとつだった。前にも後ろにも複数の組がいる、ギャラリーが観戦しやすい時間帯に設定された。

 多くのスポーツは競争相手と「戦う条件が平等である」ことを前提とする。その意味でゴルフほど、それに当てはまらないゲームもなかなかない。時間帯によって気象条件が変わり、グリーンの状態も刻一刻と変化。幸運と不運が芝の上をせわしなく交錯している。

 松山、石川と同じ舞台に立ったはずの岩田だが「2人はシード選手なんで」と、痛感するのは彼らとの境遇の違いだ。

【次ページ】 ほぼ全ての試合に出られる松山、過酷な競争の岩田。

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