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なぜ4トライを狙いに行かなかった?
サモア戦で選手が感じた真の力量差。
posted2015/10/05 11:20
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Getty Images
ワールドカップ(W杯)の2勝目までかかった時間が24年。そこから3勝目までは、わずか2週間だった。
いや、時間の問題ではない。ラグビー日本代表が今大会2勝目、ワールドカップ通算3勝目をあげる80分間を目撃しながら「これほど、当たり前に勝ってしまうのか」という思いが頭をよぎってしまった。
そして、多くの人が抱いたであろう「なぜボーナスポイントを取りに行かなかったのか?」という思いも。
初戦で強豪南アフリカを破ったとはいえ、2戦目でスコットランドに完敗し、日本の8強進出は、険しい道のりとなった。
1試合に4トライ以上、あるいは7点差以内の負けに与えられるボーナスポイントを、日本は2戦目まで獲得できていなかった。南アフリカ、スコットランドと勝ち数で並んでも、勝ち点差で下回ったら、決勝トーナメントには進めないのだ。8強進出の可能性を少しでも高めるには、日本は4トライを狙っていくべきではないのか?
しかし、リーチ マイケル主将は慎重だった。
狙うべきはトライなのか? ショットなのか?
サモアにイエローカードが2枚出て、数的優位を得ていた前半こそ、相手ゴール前のPKからトライを狙っていったが、後半20-0、23-0の場面でも、石橋をたたくようにショットによる3点を選択した。
「あそこは、選手の間でも意見が分かれたんです」と明かしたのはSH田中史朗だ。
「僕はボーナスを狙って攻めようと言いました。でもリーチはショットしようと。それはリーチだけじゃなく、堀江なんかもそう言っていた。そしてリーチが『狙う』と決めたらもう誰も文句みたいなことは言わなかったし、思いもしなかったと思う」