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なぜ4トライを狙いに行かなかった?
サモア戦で選手が感じた真の力量差。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byGetty Images
posted2015/10/05 11:20
試合後半に負傷退場となった山田だが、アメリカ戦出場には問題ないという。
ピッチ上でしか分らない、戦う者の皮膚感覚。
後半28分、26-5とリードした場面で左中間25mの位置でPKを得ても、リーチはショットを選択。
日本の応援が過半だったスタジアムMKの3万観衆からは、ブーイングも聞こえた。
リーチは試合後の公式会見で言った。
「それまでジャパンのアタックを続けてきて自分たちの足もちょっと(疲労が)たまってしまってたし、時間もまだ12分あった。サモアはどこからでもトライを取れるチームだし、ひとつ取ると勢いがついてしまう。まずショットで3点を取って、そのあとボーナスポイントを取りに行くつもりでした。試合前から、ボーナスポイントが重要だということは頭にあったけれど、まず勝つことが重要だと思っていましたから」
それが、実際にピッチで戦う者の皮膚感覚だったのだろう。
前半で20-0。後半19分には26-0。スコアボードの数字は日本が圧倒しているように見えたが、戦いの内実は生易しいものではなかった。
一瞬で形勢が逆転しかねない、サモアの攻め。
後半13分、日本が相手ゴール前まで攻め込みながら、サモアがボールを奪った場面では、CTBからWTBに回っていたサモアのペレスが鋭いカウンターアタックからキックを蹴って猛追。日本のFB五郎丸歩が猛然と戻り、間一髪でタッチに逃げたものの、一瞬で敵陣を陥れるサモアの潜在力を改めて見せつけられた(実際、サモアは後半24分、やはり自陣ゴール前からペレスのカウンターアタックを起点にフェイズを重ね、ノーホイッスルで95mを切り返すトライをあげたのだ)。