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強豪相手にお約束の第3セット失速。
男子バレー、急速な成長と高い壁。 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKYODO

posted2015/09/30 10:40

強豪相手にお約束の第3セット失速。男子バレー、急速な成長と高い壁。<Number Web> photograph by KYODO

石川祐希とともに若い力で全日本を引っ張る柳田将洋。今大会でも目立ったサーブはチームにとって大きな得点源となる。

日本選手の多くにとっては非日常のレベル。

「強豪国とやる時は、サイドアウトの応酬だったり、ブレイクしてもすぐ取り返されたり、気の抜けない場面がずっと続く。メンタル面のところで、もっと最後まで攻め続けないといけないし、後半、もう一つギアを上げていかなきゃいけないんですが」

 柳田はそう語った。

 普段、イタリアのセリエAやロシアリーグといった、体格的にも技術的にもレベルの高いトップリーグでプレーする強豪国の選手にとっては、ワールドカップのような試合は日常レベルだ。しかし、普段V・プレミアリーグや大学リーグでプレーしている日本の選手たちにとっては、強豪国との対戦は、非日常の破格ともいえるレベルの戦いだ。

 昨年から海外遠征を増やし、以前に比べれば海外のレベルに慣れたとはいえ、試合開始と同時に、精神的にも体力的にも限界値を出し続けなければ太刀打ちできないため、途中で息切れしてしまっていた。

 それでもポーランド戦の翌日、世界ランキング2位ロシアとの最終戦では、第1セットを取り、第2セットを取り返された後、第3セットを奪い返す成長を見せて、ロンドン五輪金メダルチームを追い込んだ。しかし第4、5セットを連取され、あと一歩及ばなかった。

 近そうで、遠い金星。その差は、先ほど述べた日常レベルと選手層の差にあるように見えた。

石川、柳田に続く起爆剤となる選手が必要。

 日本は今大会、よくも悪くも石川と柳田次第だった。

 彼らのサーブが走り、レセプションで持ちこたえることができていれば、強豪にも太刀打ちできるが、それができなければセットを奪えない。

 例えば、ポーランドやロシアやイランは、日本に追いつめられた時、途中から入った選手が流れを変え逆転に導いたが、日本にはそれがなかった。守備を安定させるために米山裕太(東レ)や浅野博亮(ジェイテクト)を後衛で起用したくらいで、流れを変える起爆剤となるような選手交代はできなかった。

【次ページ】 若手は伸びた。バックアップメンバーの充実が課題。

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