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強豪相手にお約束の第3セット失速。
男子バレー、急速な成長と高い壁。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKYODO
posted2015/09/30 10:40
石川祐希とともに若い力で全日本を引っ張る柳田将洋。今大会でも目立ったサーブはチームにとって大きな得点源となる。
若手は伸びた。バックアップメンバーの充実が課題。
今年、南部正司監督は、「ベテランの下についてやるんじゃなく、若手が『オレらがやるしかないんだ』と思うような環境をあえて与えて、自立やリーダーシップ能力を磨きたい」という意図から、アウトサイドのベテランを全日本の登録メンバーから外した。
そのもくろみ通りに、石川、柳田はみるみるうちに世界のレベルに順応し、これまで開く一方だった日本と世界トップチームとの差は、確かに縮まった。
しかしその差を完全に埋めるためには、多くの課題が残った。来年5月には、リオデジャネイロ五輪世界最終予選が控えている。そこにはバックアップメンバーの充実が欠かせない。
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「若手の成長が急ピッチで進んだので、今後のVリーグと大学リーグを見て、それに勝るものがあればもちろんメンバーの入れ替えはありますが、それがなければ、今回のメンバーでさらに強くしていくという考えです」
南部監督はこう語るにとどめた。Vリーグで補強戦力を見極めるとともに、大学生についてはVリーグが開催されている冬場に海外遠征を行なって強化する予定だという。
20年ぶりの躍進と、トップ10に勝てなかった現実。
最終的に日本は今大会を5勝6敗、12チーム中6位で終えた。日本がこの大会で4勝以上を挙げたのは20年ぶりのことだが、世界ランクトップ10のチームには一つも勝てず、勝ち越せなかったのも現実だ。
それでも、試合内容や新戦力の活躍は見る人をひきつけ、日に日に注目度は高まった。開幕初日に観客数約3000人だった会場は、4日目以降、連日満員となり、最後は1万2200人の大観衆が代々木第一体育館につめかけた。
この熱狂が、10月31日(女子は10月17日)に開幕するV・プレミアリーグにも波及し、少しでも“日常レベル”の向上につながればいいのだが。