マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
U-18W杯で見えた、球児たちの本質。
清宮、勝俣、平沢、オコエの“核”。
posted2015/09/11 10:50
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Kyodo News
夏の甲子園大会が終わり、その直後から開催された「U-18」もアメリカチームの3連覇で幕を閉じた。
今年の「U-18」は、日本開催であることと、甲子園大会から続く“清宮幸太郎人気”のせいもあって、いつになく盛り上がった。
テレビも日本チームの試合をBSで完全中継、アメリカチームとの決勝戦はテレビ朝日が地上波で放送。日曜日の夕刻6時、『ちびまる子ちゃん』や『サザエさん』という“強豪”を向こうにまわして、視聴率18%という大健闘をみせたと聞く。
日曜6時といえば、家族優先、家族優勢の時間帯であろう。にもかかわらず、これだけの高い視聴率を上げたということは、決して“お父さん”ばかりが興味を持っていたというわけではないことを表していよう。
それほどに、この夏の高校野球は、この国の中で広く盛り上がっていた。
U-18本番前の「大学ジャパン」との壮行試合、そして本戦。選りすぐりの20人の高校球児たちが、自分たちより上のレベルの相手とまみえる中で、それまでの、同じ高校生相手の実戦からは見えなかった彼らの“本質”が垣間見えて、とても興味深かった。
今年のU-18は、注目の高校球児たちの本当の姿を浮き彫りにしたリトマス試験紙だったようにも思う。
ジャパンの4番を全うした清宮幸太郎。
一時、左ヒザの故障で欠場した早稲田実業・清宮幸太郎。休んでも大勢に影響のない試合で休養をとった、というのが本当のところだろう。実質としてはジャパンの4番を立派に全うして、打率はさほどでもなかったものの、その“存在感”で相手投手に確かなボディーブローを与え続けていた。
大差で勝利した韓国戦、彼は手元で伸び、変化する韓国投手陣の生きたボールに戸惑っていた。
壮行試合で対戦した創価大・田中正義、東京農大オホーツク・井口和朋に続く、大人の世界との出会いだったのかもしれない。