サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
妥当な結果でも、大勝はやはり爽快。
アフガン戦の6点を生んだ“揺さぶり”。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/09/09 11:25
2得点を決め、代表通算得点2位の三浦知良にあと9点とした岡崎慎司。2列目のスタメン争いは激しいが、1トップは現状岡崎が鉄板の状態。彼の調子がチームをも左右する。
横に、タテに相手を揺さぶった攻撃が布石に。
2-0で前半を終えた時点で、選手たちはカンボジア戦とは違う空気をまとっていた。ロッカールームへ消えていく背中に、5日前にはなかった余裕が感じられる。サイドチェンジで横に、ミドルシュートでタテに相手を揺さぶった前半の攻撃が、後半への確かな布石となっていたのだ。
果たして、後半開始直後にスコアが動く。50分、香川が自身2点目のゴールを決めたのだ。アフガニスタンの精気を奪い取る3点目だった。
前半のような割り切りは、もはや必要ない。連動性のあるショートパスの交換から、決定機とゴールを立て続けに作り出していく。敵陣での直接FKが増えていったのは、ボールホルダーに合わせた動き出しが1人だけではなかったからだろう。失点のリスクをひとつに絞り込めないときに、DFはファウルを覚悟する。34本ものシュートを浴びせながら、直接FKがわずか1本だったカンボジア戦との明らかな違いである。
原口は2列目でもサイドバックでも高評価。
ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の采配にも触れるべきだろう。
これまで途中出場のカードだった原口を、指揮官はアフガニスタン戦のスタメンに抜擢した。ヘルタ所属の24歳はゴールへの流れにしっかりと絡み、得点場面以外にもチャンスを演出した。
後半途中から原口に代わって2列目の左サイドに入った宇佐美貴史も、本田があげた6点目をアシストした。この日は途中出場だった武藤嘉紀を含む2列目左サイドのポジション争いは、アタッカー陣全体に競争原理を持ち込んでいく期待感がある。
原口は右サイドバックでもプレーした。宇佐美に代わって退いたのが、酒井宏だったことによる緊急避難的な配置だった。
今後、ゲームのスタートから原口が右サイドバックで起用されることは、現実的に考えにくい。それでも、スクランブル態勢で相手のゴールをこじ開けたい局面で、彼をウイングのように使う必要性がないとまでは言い切れない。オプションとしての可能性を探るのに、アフガニスタン戦の後半は申し分のない時間だった。