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前回大会の反省が活かされず……。
U-18野球W杯優勝に必要なものは? 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byKyodo News

posted2015/09/07 12:20

前回大会の反省が活かされず……。U-18野球W杯優勝に必要なものは?<Number Web> photograph by Kyodo News

大会3連覇を果たしたアメリカ代表と、負けて観客席に深々と礼をする日本代表。

野手兼任だった決勝のアメリカ代表投手。

 一方のアメリカは、先述のプラットが中5日。2番手登板したブラクストン・ギャレットは中2日、クローザーで登板したレジナルド・ジェファーソンローソンは中1日。救援の2人は佐藤、上野と登板間隔は変わらないが、登板数はギャレットが7回3分の2、138球、ジェファーソンローソンが8回3分の2、120球である。

 アメリカの指揮官であるグレン・セッチーニ監督はプラットの先発起用についてのマネジメントをこう説明している。

「決勝戦はプラットで決めていた。彼はオーストラリア戦でいいピッチングをした。今日と同じくらいの三振を取っていたんじゃないか。オーストラリア戦の時点で決勝戦のことを頭に入れていた。ファーストラウンドで日本と戦って、プランをもって臨まなければいけないのはわかっていた。日本が走ってくるチームだというのも認識していた。プラットはけん制がうまい投手。今日も、1つ刺していただろ。我々は、大会の初日から今日まで日本を意識していた。日本は尊敬するチームだからね」

 当のプラットも「決勝戦の先発を言われたのは前日だったけど、オーストラリア戦を投げた後、決勝が6日後だったので、決勝で投げるイメージは持っていた」と準備万端だったと語っている。

投手兼任の野手が12~13人もいたアメリカ。

 同時に、プラットは日本にとって分析できていない投手でもあった。

 西谷が「まったく情報のない投手でした。落ちる球がフォークなのか、チェンジアップなのか分からないほどで、手こずってしまった」といえば、仲井も「1試合を投げている投手だというのはわかりましたけど、僕らが見ていない投手でした。地の利を生かせなかった」、島田も「アメリカは前回もそうでしたけど、投手が野手兼任も含めて12~13人も入っていて、把握しきれない」と情報力不足を認めるしかなかった。

 とはいえ、今回の敗因がそうした情報不足や登板間隔などのマネジメント力の違いによるものと言いたいのではない。日本代表のチームが、選手たちの起用をうまくマネジメントするための環境が整っていなかったように思えただけだ。

 全国高校野球選手権の後に組織されたU-18高校日本代表チームは、指揮官たちが選手たちの特徴や性格を把握する時間があまりにも短すぎたのだ。

【次ページ】 アメリカ代表は2週間以上かけて選ばれる。

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