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オコエ&清宮より津田&舩曳!?
U-18野球W杯、いぶし銀の選手たち。
posted2015/08/31 12:35
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
野球のU-18ワールドカップに挑んでいる高校日本代表が開幕3連勝を飾り、スーパーラウンド(2次リーグ)進出に向けて、大きく踏み出した。
なかでも、2戦目(29日)のアメリカ、3戦目(30日)のオーストラリアに勝利を挙げたことはグループリーグ首位通過に向けても貴重な勝利だった。
とにかく指揮官の西谷浩一監督(大阪桐蔭)の采配が冴えわたっているというのが、この3連勝での印象だ。
西谷は、初戦のブラジルに完勝すると、大一番として臨んだ2戦目のアメリカ戦で打順に大きくテコ入れをしてきた。
これまでの壮行試合と初戦を含めて、西谷は固定されたオーダー中心に組んできていたが、アメリカの先発投手がサウスポーであると読み切ると、先発に右打者を多く並べてきたのだ。
6番は勝俣翔貴(東海大菅生)だったのを伊藤寛士(中京大中京)へ。7番が堀内謙伍(静岡)だったのを郡司裕也(仙台育英)、8番の杉崎成輝(東海大相模)を津田翔希(浦和学院)に……とズラリと右打者を揃えたのである。
打順テコ入れの理由を西谷が明かす。
「郡司に関しては、アメリカ戦の先発ピッチャーが同じ学校の佐藤世那(仙台育英)だったのでね。郡司はいつもバッテリーを組んでいるわけですから、佐藤の力を引き出せると思って先発にしました。
津田に関しては、このチームにおいて“キープレイヤー”であると大会前から考えていました。前回のWBCの侍JAPANでいうと、津田は井端(弘和)選手のようないぶし銀のプレイヤー。どこかで先発できないかなと思っていて、それが今日だった」
アメリカとのギリギリの戦いを制したのは……。
アメリカとの対戦は、4回を終えて0-0という緊迫した試合展開。
先発の佐藤は走者を出しながらも粘り強いピッチングで、先制点を与えなかった。
5回表には1死満塁の大ピンチになったが、セカンドゴロに打ち取ると、二塁手・津田が遊撃手・平沢大河(仙台育英)とのコンビで併殺を成立させて、ピンチの芽を摘み取った。
その裏、先頭の6番・伊藤が右翼前安打で出塁、7番の郡司が送って1死二塁とすると、8番・津田が右翼前安打を放って1点を先制する。津田の打球はセカンド正面のゴロだったが、相手守備陣がポジションを動かしたおかげで安打になるラッキーなヒットだった。