サムライブルーの原材料BACK NUMBER
日本代表、国内組に最大の危機が。
小笠原、遠藤の偉業を今こそ考える。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoya Sanuki
posted2015/08/26 11:10
遠藤保仁、小笠原満男、中村憲剛。つい注目が集まる海外組の陰で、彼ら国内組も確実に日本代表を支えたメンバーであった。その志を忘れてはいけない。
ハリルホジッチ体制でいなくなった国内組の“支柱”。
遠藤はジーコジャパンでこそ控えの立場を覆せなかったものの、何を求められているかを感じながらプレーの幅を広げていった結果、オシムジャパン以降は常にチームの中心として日本代表に君臨した。欧州と国内という環境の違いはあっても、そこが序列を打ち破れない理由にはならないのだと彼らが教えてくれる。
岡田ジャパン、ザックジャパン、アギーレジャパン……増え続ける海外組が主流とはなっても、国内でも成長を遂げられることを遠藤は証明してきた。
だがハリルホジッチ体制になってから、その遠藤も代表に呼ばれなくなった。国内組が学ぶべき支柱がいなくなった影響は小さくない。
ハリルは、東アジア杯の選手たちをAチームと区別した。
ハリルホジッチは国内組で構成した東アジアカップのメンバー発表会見で「日本代表の“Aチーム”に入るために彼らは見せないといけない」と語っており、国内組だけの構成では真のA代表と認めていないフシがあった。聞きようによっては実に挑発的な言葉だ。
選手達には、心のどこかで小笠原のように「反骨」がなければならないし、遠藤のように「不屈」がなければならない。海外でプレーする選手たちを押しのけてでも、先発の座を確保してやるという「気概」がなくてはならない。
立場が厳しくなっている国内組のメンバーは、強く自覚したほうがいい。これから先、小笠原にならなければ、遠藤にならなければ先発の座を射止めることなどできないのだ、と。
だが、反撃のチャンスは十分にある。
ハリルホジッチは日本にいる。足しげく通うのは欧州ではなく、Jリーグである。指揮官の要望が通れば、今後は国内合宿が増えてくることにもなる。そうなれば監督の意図や、やらなければならないことをより理解し、周囲との連係を高める機会も多くなるに違いない。
「反骨」、「不屈」を体現していく者は、誰なのか。
走りひとつ、シュートひとつ、パスひとつ。そして出る試合ひとつ。
今以上に、海外組以上にこだわることが、国内組復権の、ハリルジャパン強靭化の何よりの近道である。