サムライブルーの原材料BACK NUMBER
日本代表、国内組に最大の危機が。
小笠原、遠藤の偉業を今こそ考える。
posted2015/08/26 11:10
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Naoya Sanuki
海外組と国内組。
言うまでもなく前者は海外でプレーする選手たちを指し、後者はJリーグでプレーする選手たちを指す。
中国で開催された先の東アジアカップ。国内組で臨んだハリルジャパンは、一つも勝てないまま大会を終えた。準備期間が少なくぶっつけ本番だとはいえ、国内組の評価はやはり下がったと言わざるを得ない。
「国内組は力不足」
「やっぱり欧州組がいなきゃ代表はダメだ」
そう思ったサッカーファンは、きっと少なくないはずである。
国内組の危機。
ひょっとしたらヴァイッド・ハリルホジッチは9月に控えるW杯アジア地区2次予選カンボジア戦、アフガニスタン戦で、海外組ばかりをメンバーに並べてくる可能性がある。国内組は少数にとどまり、そのうち「組」にもならない事態が訪れるやもしれない。
今、奮起せずしていつ奮起するのか。
歴史を振り返っても、代表をこれまで支えてきたのは国内組であり、彼らの熱源なくして強い代表などはあり得ないと筆者は思っている。
ジーコジャパン時代に定着した2つのグループ分け。
2つのグループに分ける呼び方が定着したのはジーコジャパンのころだった。
欧州でプレーする中田英寿、中村俊輔、小野伸二、稲本潤一が「黄金のカルテット」を形成し、高原直泰や柳沢敦たちも続けて欧州に渡った。ジーコは一気に膨れ上がった海外組の力を信頼し、彼らを重宝するような起用法を続けた。海外組が呼ばれれば国内組は控えに回るというパターンがあった。
だが、かといって海外組が幅を利かせていたわけではない。常に国内組の突き上げがあり、いつでも取って代わるというプレッシャーを掛けていた。
その代表格が、小笠原満男だった。