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ドルトムントと新監督の「良い感触」。
香川真司も交えスタメン争いが激化!
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/07/30 11:30
まさかの7位に終わり、黄金期を築いたユルゲン・クロップが退任したドルトムント。香川真司にとっても、輝きを取り戻す正念場のシーズンとなる。
ユベントス、バイエルンに昨季は完敗。
2つ目の限界は、ユベントスのような力のある相手との戦い方だ。
例えば、昨シーズンのCL決勝トーナメント1回戦。ユベントスとのファーストレグでは1トップのインモービレにピルロをマークさせ、相手の攻撃の芽を潰すような戦いを目論んだが、作戦は機能しなかった。
さらにこの試合では前半37分にピルロが負傷で交代すると、自らの策が空転し、それ以降もユベントスに対して有効な戦術は発揮できなかった。それは国内王者バイエルンとの対戦でも同様で、リーグでの2回の直接対決ではバイエルン対策を講じたものの、最終的には力負けを喫している。唯一ドイツ杯準決勝ではバイエルンにPK戦の末に勝利したが、内容では完敗だった。
2つ目の限界がどれほど解決したかについては、現時点では未知数と言わざるを得ない。ドルトムントは欧州3大リーグの中で最も早く公式戦を迎えるチームの一つであり、プレシーズンでは自分たちと同等に仕上がった強豪チームと対戦することが出来ないからだ。
ただユベントス戦では、カウンターではなく遅攻の可能性を感じさせるプレーが何度か見られた。
一本のパスをスイッチに、チーム全体が加速する。
例えば前半19分のこと。キーパーからのビルドアップで攻撃を開始し、ダブルボランチの一角に入ったギュンドガンが右のセンターバックのソクラティスにパスを戻す。そしてソクラティスから右サイドバックのピシュチェクにパスが入った瞬間、チーム全体に攻撃のスイッチが入った。
ピシュチェクにボールが渡る瞬間に、左MFのムヒタリアンが中央から右サイドのスペースへ向けて飛び出し、そこにピシュチェクからのパスが通る。ムヒタリアンのトラップが流れたものの、右サイドのゴールライン近くで追いつき、そこから後方へ戻してトップ下のロイスがシュート。シュートはわずか左に外れてしまったが、ゴール前にはしっかりとFWのオーバメヤンもつめていた。
ポイントとなったのは、ソクラティスからピシュチェクへパスが入った瞬間だ。このパスが攻撃のスピードを上げるスイッチとなり、一気に全体がスピードアップしてフィニッシュへつなげた。このほかにも、ボランチのヴァイグルへパスが入った瞬間にチーム全体が連動して動き出し、最終的にFWオーバメヤンの決定的なヘディングシュートまでつながったシーンもあった。