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被災地とマラソンの不思議な関係。
ランナーは走った町を好きになる! 

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph byTetsuhiko Kin

posted2015/07/08 10:40

被災地とマラソンの不思議な関係。ランナーは走った町を好きになる!<Number Web> photograph by Tetsuhiko Kin

国立競技場から、「借りた」聖火台が石巻にはある。これもまた復興を目指す人々にとってシンボルの1つとなるのだろう。

ランナーは、観光地だけでなく「町」をまるごと走る。

 日本全国には、1000を越すマラソン大会がある。そのほとんどは地域住民の健康増進や観光推進が目的である。マラソン大会を開催すると、たとえば人口減少で過疎になった町の人口に匹敵する数のランナーが訪れることもある。ランナーたちは、一部の観光地だけでなくその町を自らの脚で走る。まるごとの町を観てもらえるのがマラソン大会なのだ。

 また、大会開催による地域活性効果は、宿泊や飲食、お土産などで落とすお金、いわゆる“経済効果”だけではない。数十キロにわたるコース上(住民にとっては家の前)で声援を送る多くの地域住民と交流できる。ハイタッチなどで直接触れ合うと、その町への思いが深くなり必ず好きになる。

「いしのまき復興マラソン」は、復活しつつある石巻を市外のランナーたちに観てもらうことはもちろんのこと、地元の人たちが大会出場を目指すことで自ら元気を取り戻すことにもつながっている。さらに、目の前を走るランナーを応援する楽しみを、仮設住宅に暮らす被災地の人たちに与えてくれる。マラソンが人と人をつなぎ、応援が人を元気にするのだ。

 静かだが神々しく燃え続ける聖火のように、人々に希望を与え続けるこの大会が、石巻を復活させるひとつのエネルギーになることは間違いない。

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