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大谷翔平、打撃不振の意外な理由。
「投手目線」で打席に入っている!?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNanae Suzuki
posted2015/04/27 11:30
投手としては開幕5連勝で防御率0.80、38奪三振という抜群の成績を残している。
投手では開幕から5連勝。自身初となる月間MVPが現実味を帯びている一方で、野手としては8試合に出場し打率2割1分2厘(4月26日現在)。日本ハム・大谷翔平の二刀流3年目は、数字の上では順調とは言い切れない内容となっている。
昨季は4月が終了した時点で3割9分2厘のハイアベレージを残し、シーズンを通しても66試合で2割7分4厘、10本塁打。投手でも11勝をマークし、ベーブ・ルースが記録して以来、96年ぶりの「10勝、10本塁打」を成し遂げた。
しかし今季は、開幕から打撃不振に喘いでいる。
客観的に原因を挙げるとすれば、「DH限定」での起用が関係しているかもしれない。
守備からゲーム展開を把握できないDHの難しさ。
DHとは「打つことだけに集中できる」と、多少なりとも楽観的なイメージを抱かれがちだが、実際はそうではない。
楽天時代の2007年に本塁打、打点の二冠王に輝くなどDHで結果を残し続けた評論家の山崎武司氏は、現役当時このポジションの難しさを説明してくれたことがあった。
「守備をしないのはバッティングに影響するからね。グラウンドで守っていれば、初回から自然と試合に入っていけて、ゲーム状況とか展開も常に把握できているものだけど、DHだとそうはいかない。自分ではいくら意識していたとしても、1打席が終わればどうしても集中力が途切れてしまう。そのままベンチに座っていれば体だって冷えてくるし、次の打席を迎えるまでの準備がすごく大事になってくる。『DHだから打って当たり前』という周囲からのプレッシャーだってあるし。俺は、DHほど難しいポジションはないと思っているからね」
昨季の大谷はDHで42試合と、野手で出場したなかでは最も多かった。しかし、オフシーズンにウエイトトレーニングなど肉体改造に試み、何より20代前半の体は日進月歩で成長していくものでもある。前年に好成績を収められたといっても、翌年も同じような成果を挙げられるとは限らない。