プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ようやく動き出した「試合時間短縮」。
ファンのために、試合にスピード感を。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2015/03/27 10:30
熊崎勝彦氏は検察官、弁護士などを経て2014年に日本野球機構の第13代コミッショナーに就任した。東京五輪を前に、重要な時期を任された手腕に期待したい。
今季からのメジャーと、来季からのNPB。
もちろんこうした動きには大賛成である。
特に今回は選手会の代表も話し合いに加わり、現場に即した具体案を出していくのは大いに評価できる。
ただ、これでは具体策を実施できるのは早くても来シーズンからとなる。あまりのメジャーとのスピード感の違いに、違和感を覚えてしまう。こうした委員会を作ってプロ野球界全体で取り組む姿勢と同時に、今できることはできることで速やかにやる。そういうスピード感はないのかと思うのである。
既にある規定を正しく運用するだけでも効果はある。
実はプロ野球には、すでにスピードアップで細かな合意事項がある。
2011年3月の実行委員会で承認された「PACE OF THE GAME」という規定で、試合運用等を記した12球団のアグリーメントにも載っているのである。
そこではイニングインターバルは2分15秒以内でプレーを再開し、そのために投手の投球練習の球数を制限できることや投手交代の時間制限、前述の「15秒ルール」等の決まりが明記されている。
また打者は勝手に打席を外せないという規則を厳格に適用し、タイムを認められないときに打席を外してストライクゾーンに投げられたら、「ストライク」を宣せられることも規定されている。その他にもアトラクションや場内映像の管理など細かくスピードアップのための方策が決まっているのである。
断っておくが、これはNPBが正式に決定した試合運用のためのルールである。
これを徹底すれば、3月27日の開幕から、いま目の前にある試合から明らかに時間短縮に取り組めるのである。