プロ野球亭日乗BACK NUMBER
ようやく動き出した「試合時間短縮」。
ファンのために、試合にスピード感を。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2015/03/27 10:30
熊崎勝彦氏は検察官、弁護士などを経て2014年に日本野球機構の第13代コミッショナーに就任した。東京五輪を前に、重要な時期を任された手腕に期待したい。
日本でも2009年に「15秒ルール」騒動があった。
日本でもスピードアップの規定で、同じような騒動があったのを記憶しているファンも多いかもしれない。
2009年、試合のスピードアップを狙って投手の「15秒ルール」の徹底が決まったときだ。
野球規則には「投手は打者が打席に入って投手に面してから12秒以内に投げなければならない」という決まりがある。これをより厳格に、ボールを受け取ってから15秒以内に投げることとし、時間をオーバーすればボール1つを宣告されるという決まりだった。
だが開幕前の段階で、当時日本ハムに所属していたダルビッシュ有投手(現テキサス・レンジャーズ)が「野球にならない」と猛反発するなど、現場から反対意見が続出した。結果的にこのルールは開幕後はなし崩し的に適用されなくなり、今は有名無実化している。
これまでにも、日本球界(特にプロ野球)にスピードアップ論議の掛け声はいっぱいあった。15秒ルールはサインに2度、3度首を振ったら時間オーバーで投手にはやりにくい決まりだった。ただ、例えばメジャーの打席規定は、打者にとっては不利なルールかもしれない。
反対意見は必ず出る。ならば何が必要なのか。
一つを実施すれば必ず反対意見が出てくる。投手や野手という選手間だけではなく監督やコーチ、はたまた試合を運営する球団でも営業と現場ではそれぞれ意見が異なる。結局、全てが丸く収まることはないのである。
ならば何が必要なのか。
きちっと協議して決まったことは、異論があろうが厳格に実施する。そうしてそれを指揮して担保するのがコミッショナーの権威であり、役割ではないだろうか。
NPBでは3月25日に熊崎勝彦コミッショナーが「コミッショナー宣言」を出して、試合時間短縮への強い意志を表明した。2月26日にはゲームオペレーション委員会の第1回会合にセ、パ各球団代表、日本プロ野球選手会、審判部の代表者らが出席してこの問題を論議。7月には具体案を作成する方向で、今後も協議していくことになった。