当時のライバル・橋本将との切磋琢磨を振り返って。

――里崎さんも、バッティングに定評があった橋本将さんとレギュラー争いをしていただけに、その重要性を感じている。

「僕の場合は、周りがあんまり打っていない時に打てたんでね。やっぱり、レギュラーになるためには誰にも負けない武器が必要で、それが一番わかりやすいのがバッティング」

――そのために、どのような練習や意識を持って、打撃に取り組んでいましたか？

「僕の場合は、相手と自分を研究して、球種にヤマを張って打つようになってから、バッティングが飛躍的によくなったわけです。だから、彼らに求めるとすれば、早くそういったものを身につけることですよね。別に、僕と同じことをしなくてもいいんですよ。打率を上げることだけを考えて、引っ張らずに逆方向のバッティングをすることだけを意識したり、なんでもいいんです。自分に合ったスタイルを早く見つけて、習得に励めば伸びるでしょうし」

――ものすごくわかりやすい解説なんですけど、でも、一軍経験が少ない若手キャッチャーって、「まずは守備からしっかりやろう」みたいな意識にはなりませんか？

「ピッチャーの意見を聞いたらよく分かりますよ。キャッチング、スローイング、ブロッキング。守備の能力に甲乙つけ難かったら、『打てる奴を試合に出してほしい』って言いますよ。打てる選手が多ければ、自分が勝つ確率が上がるわけじゃないですか。だから、最終的に多く試合に出られる選手っていうのは、打てる人なんです」

横一線なら、最後は選手を起用する側の好み。

――今の段階では、吉田と田村は守備も打撃も横一線って状況なんですね。

「そうなるんでしょうね」

――キャッチャー出身の伊東（勤）監督も悩むでしょうね。

「そうなってくると、最後は選手を起用する側の好みになるでしょうね」

――え？

「好み」

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