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チェルシー進化の象徴、アザール。
使命は「得点」から「勝利の実現」に。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/02/21 10:30

チェルシー進化の象徴、アザール。使命は「得点」から「勝利の実現」に。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

スピードに加えて力強さを手に入れ、さらにピッチ上での存在感が増しているアザール。胸に日本語で息子の名前のタトゥーを入れていることでも有名。

被ファウル数、ドリブル成功数がリーグトップ。

 こうしたプレーが増えた背景には、もともと小柄だが線が細いわけではないアザールに、3年目のプレミアでフィジカルにも耐えられるという自信が芽生えていることもあるに違いない。

 かといって、持ち前のスピードとテクニックがフィジカルの犠牲になっているわけではない。むしろ、これまで以上に光っている。今季のアザールは、25試合で74回の被ファウル数もプレミア最高なら、112回のドリブル成功数もリーグトップだ。

 アザールの「効き目」を示す代表例が昨年12月のストーク戦(2-0)。タフなアウェイゲームで、敵はフィジカル全開でチェルシーに挑んできた。ストークのプレーは、最後まで11人のまま、計イエロー3枚で試合を終えられたことが信じ難いほど激しかった。定位置の2列目左サイドで先発したアザールは、コーナーフラッグ付近で削られたり、タッチライン沿いで一発退場が妥当と思われたスライディングタックルを浴びたりしながらも、2得点に絡んでみせた。

役割は「得点」から「勝利の実現」へ。

 自分の役割を、単なる「得点」ではなく「勝利を実現すること」と表現するようになったアザールは、決定的な仕事への意識も強まっている。リーグ戦25試合での5アシストは、リーグトップで15アシストのセスクに遠く及ばないが、セスクが担当することの多いセットプレーを除くチャンス創出数では、アザールの66回がリーグ最高だ。ピッチ上で常にアイコンタクトを欠かさないオスカルとの呼吸はもちろん、自身が「チームの頭脳」と賞賛するセスク、「やる気を駆り立てられる闘士」と共感するジエゴとの相性も非常に良い。

 前述のストーク戦ではスルーパスでセスクのゴールを呼び、続くウェストハム戦ではジエゴのゴールをお膳立てしている。年末のサウサンプトン戦(1-1)では個人技を生かして自ら同点ゴール。

 その後も、まさかの5失点で敗れた元日のトッテナム戦(3-5)を含めて、攻撃陣ではチーム最高レベルのパフォーマンスを連発してきた。1月末のマンチェスター・シティ戦(1-1)では、クロスをダイレクトで完璧に折り返した珠玉の先制アシスト。翌節アストンビラ戦(2-1)で決めた先制ゴールにしても、見た目は地味だが、ダイアゴナルランから対角線上のゴール下隅に正確に決めたハイレベルなダイレクトシュートだった。

【次ページ】 PSGは今年も獲得の意思を示しているが……。

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