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チェルシー進化の象徴、アザール。
使命は「得点」から「勝利の実現」に。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byTomoki Momozono

posted2015/02/21 10:30

チェルシー進化の象徴、アザール。使命は「得点」から「勝利の実現」に。<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

スピードに加えて力強さを手に入れ、さらにピッチ上での存在感が増しているアザール。胸に日本語で息子の名前のタトゥーを入れていることでも有名。

PSGは今年も獲得の意思を示しているが……。

 今季のチェルシーを「この喜び、この見応え、この美しさ」と讃えたのは、昨年11月にグループ首位でCL決勝トーナメント進出を決めたシャルケ戦(5-0)後のモウリーニョだが、そのチームの魅力を体現する選手が、試合前のウォームアップ時から笑顔を浮かべ、いざ試合が始まれば、魅せられる時には魅せ、体を張るべき時には攻守に体を張るアザールだと言える。

 それだけの才能を他の強豪が放っておくはずはなく、昨季末に高まったPSGによる興味は今季も報じられている。今回のCL16強対決第1レグ(1-1)前には、「本当に来てくれるなら大歓迎」という相手CBチアゴ・シウバのコメントが、先方は獲得を諦めていない証拠としてイングランドにも伝えられた。

 だが当人は、その前週にチェルシーとの新5年半契約に合意している。クラブが昨春に契約延長の意思を打診してから約1年。合意に要した時間の長さも移籍説を生んだ理由の1つだが、メディアに交渉の進捗を訊かれる度に、「心配なのか? 私は彼の進退に何の不安もない」と語っていたモウリーニョの言葉通りの結果となった。アザール自身は、「世界最高レベルの選手を目指すには、世界最高レベルのチームで周囲の力も必要になる。今の自分にはその環境がある」と、チェルシーの公式マガジン上で契約締結直後の心境を述べている。

 無冠に終わった昨季末には「あと一息のシーズンだった」と悔しそうだったアザールだが、今季のチェルシーは、より攻撃的な集団となって第1目標のプレミア優勝へと力強く前進を続けており、物理的なトロフィー獲得は3月1日のリーグカップ決勝で実現の可能性がある。師匠のモウリーニョは通算3度目、弟子のアザールにとっては初のリーグカップ優勝となる。対戦相手はトッテナム。チームとしては今季リーグ戦で1勝1敗でも、アザール個人は2試合ともゴールを奪っている相手だ。優勝が実現すればチェルシーの「進化」にますます拍車が掛かるだろう。そして、ウェンブリー・スタジアムの晴れ舞台を初体験するアザールの成長にも。

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