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手倉森U-22がシンガポールに8-1。
「格下に圧勝」だけじゃない成長度。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2015/02/17 11:00

手倉森U-22がシンガポールに8-1。「格下に圧勝」だけじゃない成長度。<Number Web> photograph by AFLO

フル代表のコーチも務める手倉森誠監督は、ロシアW杯に五輪組を送り込むことを強く意識している。

「攻撃に人数をかける」という目標も達成。

 昨年12月のU-21タイ代表戦では、16分に先制点をあげたものの2点目を奪うのに時間を要した。しかしシンガポール戦では早い時間に2-0としただけでなく、前半だけで5ゴールを奪った。万全ではないコンディションでも序盤からコンビネーションを発揮したのは、チームの成熟度を示すものだっただろう。同時に、試合の流れに敏感だった証でもある。それこそが、手倉森監督が言う「コントロール力」である。

 過日のU-21タイ代表戦後に、遠藤は「攻撃にもう少し人数をかけたい」と話していた。昨秋のアジア大会の反省点である。「守備に関しては悪くなかったんですけど、どうしても下がり過ぎてしまって、前に出ていくシーンが、とくに準々決勝の韓国戦では出せなかったので。前からいく守備だったり、奪ったあとに攻撃の枚数を増やして前に出ていくことだったり、そういうところは改善したいと思います」と、今後の課題をあげていた。

 ゲームキャプテンを任された彼の言葉に照らすと、U-23シンガポール戦の成果はさらに浮き彫りとなる。「攻」から「守」への素早い切り替えを全員が意識し、高い位置でのボール奪取を好機へ結びつけていったのだ。

監督の指示を待たずにシステムを変える選手たち。

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 左サイドバックの亀川諒史(アビスパ福岡)がクロスを入れ、逆サイドへ流れたボールを右サイドバックの松原が折り返すといったシーンを作り出すことで、攻撃の厚みと持続性が生まれていた。簡単に言えば、畳み掛ける攻撃を実現できていた。

 これもまた、昨年末のタイ戦を受けた変化である。コンビネーションやパスワークといった自分たちのスタイルに寄りかからず、ロングパスを効果的に織り交ぜた攻撃は実効性に富んでいる。

 後半開始とともに、手倉森監督は選手を4人入れ替えた。鈴木武蔵(アルビレックス新潟)を1トップとする4-2-3-1のシステムは、浅野拓磨(サンフレッチェ広島)と荒野拓馬(コンサドーレ札幌)を2トップとする4-4-2に変更された。後半開始から4分でボランチの原川力(京都サンガ)が登場すると、システムは4-3-3となる。

 ピッチ上で見えた変化に、手倉森監督はほとんど関与していない。「こうしたら、と少しは話したけど」と語る。そもそも試合中は、テクニカルエリアから指示を出さなかった。選手自身が試合の流れを感じ取り、チームとして機能するようにシステムを整えたのだ。

【次ページ】 北京五輪で痛い目を見た本田や岡崎から学ぶもの。

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