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<日本サッカーはなぜ弱くなったのか>
決定力不足は永遠に続くのか?
text by

北條聡Satoshi Hojo
photograph byYukihito Taguchi
posted2015/02/12 11:30

UAE戦で放ったシュートは35本。得点はわずか1。
日本の前に再び立ちはだかった“決定力不足”の壁。
代表の攻撃パターンを分析し、問題点を明らかにする。
日本の前に再び立ちはだかった“決定力不足”の壁。
代表の攻撃パターンを分析し、問題点を明らかにする。
決定力が、足りない。先のアジアカップで連覇を逃した日本代表の、敗因の一つとみていい。
そもそも、決定力とは何か。ここであらためて定義してみたい。乱暴に言うなら、「決めるべき時に決める力」である。さらに踏み込めば、こうなるだろうか。
“正確にシュートを打てば、得点になる確率が極めて高いと思われる状況で、確実にゴールネットを揺らす力”
俗に言う、決定機を確実にモノにする力というわけだ。そうした力があるか否か、とは、詰まるところ、シュートを打つ主体(個人)の問題になる。
決定機の創出はチーム全体で分担できるが、最後のシュートばかりは特定の個人が引き受けるほかないからだ。PK戦の末に敗れた準々決勝(対UAE)では「決めるべき人」が、決定機を逃している。
個人的な見解ながら、UAE戦における日本の決定機は3度。乾貴士、武藤嘉紀、豊田陽平が、エリア内で完全にフリーとなり、右からのクロスをヘッドで狙った場面である。乾のシュートはGKの正面を突き、武藤のシュートはゴール左に外れ、豊田のシュートはポスト右に外れていった。
3度の決定機で、枠内に飛んだシュートは乾の1本。明らかにシュートの質に問題があった。AFC(アジア・サッカー連盟)の公式記録によれば、UAE戦の総シュート数は実に35本。うち、枠内シュートの数は、たったの8本だった。枠内に飛ぶ確率は、22.8%である。