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史上最年少優勝の鬼塚雅16歳。
新スノーボード女王は南国・熊本出身!?
posted2015/02/01 10:40
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
「超びっくりしました」
1月23日、羽田空港に降り立つと、スノーボード・スロープスタイルの高校1年生、鬼塚雅(おにつか みやび)は心底驚いたように言った。
それも無理はない。待ち受けていたのは数十名を越えるであろう記者とカメラ。海外遠征から帰ってきて、そうした体験は初めてだったのだから。
鬼塚の活躍は、それだけのインパクトを与えたのだとも言えた。
鬼塚は、初出場となった世界選手権(オーストリア・クライシュベルク)で金メダルを獲得した。
21日の決勝。3本滑るうちの2回目で「CAB900」(利き足と逆で踏み切り、2回転半)の大技をただ一人成功させ、92.50の高得点をマークしてトップに立つ。これを上回る選手は3本目を終えても現れず、優勝が決まった。
試合では初めての成功だったCAB900。
しかも、スノーボードの世界選手権では史上最年少となる16歳3カ月での金メダル。スノーボードの全種目を通じて日本女子で初めて、男女を合わせても2人目という事実も彩りを添えた。
「難易度の高い技を出せて、着地することができたのが優勝につながりました」
本人がそう決勝を振り返ったように、やはりCAB900を成功させたことが決め手となった。試合では初めての成功だったという。とはいえ、決してフロックとは言えない。
鬼塚は、小学校低学年からスノーボード界では注目を集める存在だった。
スロープスタイルは、コース上に手すりのような形や箱の形をしたアイテムが設けられたジブセクションと、ジャンプ台が設けられたジャンプセクションで技を繰り出し、その採点を合計して成績が決まる種目だ。鬼塚は15歳以下のジブの大会を7歳で優勝するなどの結果を残していた。
国内にとどまらず、国際大会でも活躍を見せてきた。昨シーズンはヨーロピアンオープンで2位に入るなど、世界的にも知名度はウナギ上りだ。