フットボール“新語録”BACK NUMBER
バイエルンの冬キャンプに取材敢行!
異次元の組織力を生む秘密の練習法。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2015/01/19 10:50
グアルディオラは自らボールを蹴って練習に参加し、身振り手振りを交えて指導する。また、DFを置かないミニゲームやトーナメント形式のメニューなど、選手を飽きさせないように工夫している。
「爆発力」と「アクションの頻度」。
かつてNumber Webの原稿で、オランダ代表のコンディショニングコーチを務めたレイモンド・フェルハイエンの理論を取り上げたことがあった。
レイモンドによれば、サッカーのパフォーマンスにおいて大切なのは「爆発力」と「アクションの頻度」の向上である。イメージを絵に描けば、こんな感じだ。
x → X (1回の動きの爆発力を上げる)
↓
X.........X → X...X...X...X (その動きを短時間に繰り返す)
ペップの上のセットメニューは、攻撃においても、守備においても、まさにこの2つの要素が盛り込まれていた。
合宿の他の日も、メニューは違えど、この「爆発力」と「その持続」は必ず要素として入っていた。たとえば外側に6人、内側に1人が入ってパスを回す役となり、敵役として7人が奪おうとするポゼッションゲームでは(他にフリーマンが内外に計4人いる)、ボールが他方に渡った瞬間、外側にいる選手が素早く中に入って攻守が激しく交代していた。切り替え時の息がそろっており、輪を縮めるダンスのようだ。
試合でのプレーの元は、確かに練習に存在した。
バイエルンの試合を見ていると、レバンドフスキが猛烈な勢いで前に走ったかと思えば、ゲッツェが巧みなステップで前後に相手を揺さぶり、1度前に走り込んだリベリーが全力で戻るというようなシーンを目にする。まさにその基本となる動きが、練習で行なわれていた。
他にも書きたいことが山のようにあるが、それは別の機会に譲ろう。
技術のある選手たちが、爆発的な動きを繰り返す――異次元の組織力だ。今度こそCLにおいて、レアル・マドリーという怪物集団の壁を越えられるかもしれない。