プレミアリーグの時間BACK NUMBER
「マンCのランパード」いまだ健在。
変わらぬ得点感覚と試合を決める力。
posted2015/01/12 10:40
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph by
AFLO
1月1日に行なわれた、プレミアリーグ第20節マンチェスター・シティ対サンダーランド(3-2)でのこと。70分に差し掛かったところで、TVカメラはタッチライン沿いで笑顔と握手を交わす、フランク・ランパードとグスタボ・ポジェを捉えた。
マンCのベテランMFとサンダーランドの指揮官は、入れ違いでチームメイトにはならなかったが、旧知の元チェルシーMF同士。先輩格のポジェは、交代出場を待つランパードに対し、冗談交じりに「お前、どうしてここにいるんだ?」と言っていても不思議ではなかった。
まさかのマンC入りが決まったのは、今季開幕前の昨年8月初旬。13年間在籍したチェルシーで歴代得点王となった36歳の「ブルーズ・レジェンド」は、前月に古巣との契約満了後の進路として米国MLSのニューヨーク・シティを選んでいたが、急転直下でオーナーが同じマンCへのレンタル移籍が決まった。形式上はNYシティ経由だが、事実上はチェルシーからマンCへと、プレミア優勝候補間で籍を移したようなものだ。
「戦力」としての評価を得て契約を延長。
だが、その移籍はシーズン前半のみの短期レンタルのはずで、2015年の元日は、ランパードにとってNYシティ所属選手としての初日になるはずだった。ところが、レンタル期間満了まで数時間と迫った大晦日の夜に期間延長が決まった。
マンCによる発表は、公式サイト上で「シーズン末までの契約延長により、引き続き国内と欧州の試合に出場可能」である旨を伝えるだけのシンプルなものだった。そして、クラブと本人が延長を望んだ理由も至ってシンプルだ。それは「戦力」としての認識を意味する。残留決定翌日のサンダーランド戦でも、チームが必要とし、本人も残りたいと思う理由がピッチ上で改めて確認された。
相手監督のポジェは、ランパードがピッチに立ってから僅か3分で、今度は真剣に「どうしてここにいるんだ」と思わされたことだろう。