野球善哉BACK NUMBER
大谷翔平の多忙すぎるオフを考える。
レベルアップのための時間はあるか。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/01/02 10:40
シーズン中は二刀流の影響で通常の選手よりもハードなスケジュールをこなす大谷翔平。オフは重要なトレーニング期間なのだ。
上には上がいる、と感じることの重要さ。
練習時間が長いわけではない。
2、3時間の凝縮された時間の中で、黙々と取り組む。
おそらく、アメリカの施設でトレーニングを積む日本人選手たちは、そうした考え方に馴染んだアメリカの選手たちと空間を共有することで、高い意識を保ち、何かをつかみ取るのだろう。
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「最近は日本人の選手も、アメリカの施設でオフにトレーニングをすることが多くなってきたと聞きました。上を目指している選手は、自分で考えて取り組んでいるんじゃないでしょうか。トレーニングの姿勢を見ていると、目標の高い選手は意図のある練習をしていると思います。
アメリカが良いとか、アメリカの施設に来たら成功するということではないのですが、こういう施設は野球選手だけではなく、フットボールの選手など他競技のトップアスリートもトレーニングをしています。自分より身体の大きい選手がいて、重い器具を持ち上げたり、俊敏な動きをするのを見ていたら、上には上がいると感じるきっかけにもなります。異空間で集中してできるという意味においても、若い選手にとっては、いい機会になるのではないでしょうか」
大谷が感じる目標の高さゆえの葛藤。
睡眠、食事、休養のバランスを上手く取って徐々に身体を大きくしていく。人間の身体というものは、急には大きくなるものではないから、年々積み重ねていくことで、スーパースターへの道のりを歩んでいくのだろう。
「18歳から22歳くらいの子が、冬を越すたびに大きくなっていく」というのがアメリカでは当たり前なのだ。
大谷が12月初旬の時点で「自主トレ期間が短い」と口にしていたのは、高い目標があるからこそだろう。シーズンオフにメディアに引っ張りだこになっていることへの危機感にさえ、聞こえてくる。