野球善哉BACK NUMBER
大谷翔平の多忙すぎるオフを考える。
レベルアップのための時間はあるか。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2015/01/02 10:40
シーズン中は二刀流の影響で通常の選手よりもハードなスケジュールをこなす大谷翔平。オフは重要なトレーニング期間なのだ。
筒香「違った自分を発見できるのが楽しみ」
筒香にとって、アメリカは、自分発見の地であるのだろう。
2014年、筒香は打率3割、22本塁打、77打点の成績を収めた。
先のコメントは10月のものだが、おそらくこのオフの12月にも、筒香はアメリカを訪れているはずだ。筒香は、こうもいっていた。
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「アメリカでトレーニングを積んで、自分の身体が強くなってきているのは感じています。でもまだまだ課題はあるし、新しいメニューもこれから入ってきます。向こうに行くと、違った自分を発見できますから、何があるのか楽しみなんです」
つまりアメリカには、シーズンオフに、それこそキャンプ時のような空気感でトレーニングを行なっている選手たちが多くいるのだろう。
「20歳くらいの若い選手はもちろんですが、期待が掛けられている選手が、オフシーズンにメディアに引っ張りだこになるというのは、アメリカではあまり聞かないですね」
そんな話をしてくれたのは、MLBの球団に在籍するある日本人スタッフだ。
同スタッフは高校卒業後に渡米、語学留学を経てマイナーの選手としてメジャー傘下の球団に入団した。選手としての活動を断念した後、スタッフとしてチームに残った。そこで、ユニフォームの洗濯係や日本人通訳という役割から、メジャーのブルペン捕手まで上り詰めた。来季からは、ルーキーリーグのコーチングスタッフになることが決まっている。
オフの間の詳細なトレーニングメニューが存在する。
同スタッフによれば、アメリカの選手たちはシーズンが終わると2週間の休暇に入る。しかし、休むのはその2週間だけで、その後は、精力的なトレーニングに励むのだという。
「マイナーの選手に関しては、教育リーグが終わったあたりに、ストレングスコーチの方から通達があります。2週間しっかり休むということと、その後のメニューが渡されます。オフの期間にどのようなトレーニングをして、キャンプを迎えなさいというものです。ピッチャーであれば、何月何日にボールを投げて、距離は何mから始めて……、という風に細分化されたメニューが組まれます。
それを守るかどうかは本人次第ですが、アメリカの中では、シーズンオフは1年の反省をいかに来年につなげていくかを考える時期でもあります。ですから、シーズンオフの選手たちは、来年には首脳陣をびっくりさせてやろうという想いで、トレーニングに励むんですよ」