野球善哉BACK NUMBER
大谷翔平の多忙すぎるオフを考える。
レベルアップのための時間はあるか。
posted2015/01/02 10:40
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Hideki Sugiyama
それは、怪物の嘆きのようにも紙面から伝わってきた。
二刀流に挑戦中の日本ハム大谷翔平が12月初旬、日米野球などの参戦で「自主トレ期間が1カ月少ない」と発していたのだ。
このオフシーズン、大谷を紙面で見ない日はない。
メディアや各種の表彰式に引っ張りだこで、様々なイベントに参加する大谷をメディアは連日伝えている。プロである以上、プロ野球選手のパブリックイメージの向上や野球界発展のために、大谷が一役買うのはある程度仕方のないことかもしれないが、ただでさえオフが短くなったというのに、広報活動にいとまがないというのは、大谷の心情察するに余りあるというものだ。
一番成長に重要な時期にある若手選手があらゆるイベントに出ずっぱりなのは、危惧されるところだ。改めてオフシーズンについて考え直してみたい。
毎オフ、渡米してトレーニングに勤しむ筒香嘉智。
「今年もオフが楽しみです」
そういったのは、DeNAの若き大砲・筒香嘉智だった。
この言葉だけを拾えば、年俸を稼いだ上でのバラ色のオフをイメージしてしまうが、筒香の場合は意味合いが違う。筒香は3年前からオフになるとアメリカへ渡り、トレーニングを積んでいる。彼が「楽しみ」といったのは、オフのトレーニングで、自分の身体を進化させることができるからなのだ。
「向こうでは最先端のトレーニングが積める。だからといって、いきなりは良くならないんですけど、年々積み重ねていくことによって身体に芯ができていくのを実感できます。そして向こうには、集中して取り組める環境が整っている」
メディアは一人としておらず、そこにはメジャーリーガーをはじめ、自身の身体をいじめるアスリートの姿がある。高い意識のもと、黙々とトレーニングに励むことができるのだという。