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初めて明かす甲府での3年間の秘話。
城福浩が語るプロヴィンチャの苦悩。 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2015/01/08 10:30

初めて明かす甲府での3年間の秘話。城福浩が語るプロヴィンチャの苦悩。<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

2014年シーズン終了後に退任し、現在はフリーの城福浩氏。本人も監督職への意欲を表明しており、噂されているポストも複数ある。城福氏はどのような選択をするのだろうか。

人口が減る山梨県で、週末に1万人集まるということ。

――5年、10年と、クラブが資金力を蓄えていっても難しいと?

「それだけでは難しいということです。実際、僕は3年間甲府にいましたが、この間、活動予算は減りました。J2からJ1に昇格してもJ1残留を果たしても予算は縮小しました。

 では、この状況をいかにして変えていくか。

 クラブが存続の危機に立たされた時に、そこを乗り越えてきた歴史や、今日までクラブを支えてきてくださった地元財界や、チームをスポンサードしてくださっている方々の継続的な支援を仰ぎつつ、今後は更に新たなパートナーを獲得していくことも必要になるでしょう。いわば幅広く支援の輪を広げた、新生と共生という要素が必要不可欠だと思います。

 むろんこれは簡単に答えがでる問題ではありませんが、甲府というクラブの未来が、非常に大きな岐路に差し掛かっているのは事実だと思います」

――ただし同時に城福さんは、甲府での3年間を通して「サッカーの持つ力」も感じたはずです。冒頭で触れていただいたようなエピソードは典型だと思いますが、地域経済そのものに対しても、サッカーがなんらかの働きかけができるという感触を持たれたのではないでしょうか?

「山梨は毎年県の人口が5000人ずつ減っている。一番多い時には100万人近くいたのが、最近は84万人にまでなってしまった。

 でも2014年、中銀スタジアムで行なわれた広島戦は1万4000人、FC東京戦では1万5000人ものお客さんが入っている。県全体に停滞感が漂っている中で、週末には1万人以上集まるイベントがあるということですよね。これは地域経済にとって、ものすごく大きなポテンシャルを秘めている。

 だからこそヴァンフォーレは、特別な場所であり続けなければならない。8000人しか入らなくなったよね、という状況にすることは許されないんです。

 たしかに今でも、すでに特別な存在になったと言ってくれる人はいますけど、もっと行政や政界を巻き込んでいけば、サッカーが引き金となって、高齢化が進む地方を活性化していくモデルケースになる可能性は十分にあります」

【次ページ】 甲府での経験で得たものは、非常に大きかった。

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