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初めて明かす甲府での3年間の秘話。
城福浩が語るプロヴィンチャの苦悩。 

text by

田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2015/01/08 10:30

初めて明かす甲府での3年間の秘話。城福浩が語るプロヴィンチャの苦悩。<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

2014年シーズン終了後に退任し、現在はフリーの城福浩氏。本人も監督職への意欲を表明しており、噂されているポストも複数ある。城福氏はどのような選択をするのだろうか。

予算が少ないクラブは、最初に声をかけても待たされる。

――小さなクラブを率いることに関して、疑問や葛藤を抱かれたことは?

「それはなかったです。僕自身、予算規模の小さいクラブだというのを重々承知した上で監督になったわけですから、それを言い訳の材料にすることだけは絶対すまいと思っていた。

 もともとFC東京を離れた際には、言葉では表現できないような想いをしました。『払拭』や『リベンジ』という言葉はふさわしくないにせよ、あの経験を活かすためには、これくらいディスアドバンテージ(逆境)に置かれていた方がいい。自分は苦しい状況を乗り越えて指導者として成長するためにこそ、甲府にきたんだという覚悟がありましたから」

――とは言えチーム作りは楽ではなかったはずです。2012年にはJ2優勝を果たしますが、翌年J1に昇格した後の道程も険しかった。CFのダビが鹿島に移籍し、フェルナンジーニョや高崎などの主力も抜けてしまう。

「僕たちにとっては、プレシーズンの移籍市場が最初の勝負所になる。

 ところが甲府のように予算が少ないクラブだと、早く昇格を決めても有利になるわけじゃないんです。11月の半ばに、どこよりも先に選手に声をかけても、12月の末までずっと待たされる形になってしまった。

 しかも意中の選手とようやく話がついたと思っても、他のクラブに奪われてしまうことも日常茶飯事で。毎年、非常に悔しい思いをさせられましたね」

――しかもダビの穴を埋めるべく、新たに獲得した外国人選手がことごとくチームを離れてしまうという事件も起きた。

「あれはあれで特別な経験ですね(苦笑)。

 ただしダビの場合は、数倍の条件を提示されて移籍している。そうであれば僕たちも『頑張ってこい』と応援する気持ちになれるんです。

 そもそも甲府というのは、選手にとっては次のクラブにステップアップしていくための通過点にもなりやすい。他のクラブから何倍もの年俸をオファーされているのに、『情』で残るなどというのはプロの選手として難しいのは事実です。僕たちとしてもそこは割り切って考える。その上でなおかつ、結果を出していくという覚悟があるからこそ、甲府で監督をやる意味があるのであって」

【次ページ】 攻撃的なサッカーを求めたファン、結果を求めた城福氏。

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