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増加の一途を辿るマラソン大会。
2015年は参加者のマナー向上も課題。 

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph byHirofumi Kamaya

posted2014/12/16 10:30

増加の一途を辿るマラソン大会。2015年は参加者のマナー向上も課題。<Number Web> photograph by Hirofumi Kamaya

ランニングブームの火付け役のひとつといわれる「東京マラソン」。2015年の抽選倍率は過去最高の10.7倍と、その人気は衰え知らず。初マラソンというランナーも多い。

先着方式では、異常な「クリック合戦」が。

 一方、先着順方式レースでのいわゆる「クリック合戦」もまた異常だ。

 著名な大会では、エントリーが始まってから30分弱で締め切ったというケースも少なくない。

 人気のバロメーターが「何分で締め切ったか」の早さで評価されるのはどうなのだろう。フルマラソンを走りたくても、まずは“エントリー”という壁が立ちはだかるのだ。

 レースを自由にチョイスできる状態ではないので、走れるかどうか分からないレースまでとりあえずエントリーすることになる。

 事実「片っ端からエントリーしている」というランナーも私の周囲にはいる。

 たくさんエントリーしても、すべてのレースを走れるわけではない。自ずといくつかの出走権が無駄になることになる。先日、そんな宙に浮いた出走権がネットオークションに出たことが発覚、新聞沙汰の大問題になった。

 個人名を偽って走る「代理出走」は競技会では違法行為である。そして、売る側にも買う側にも罪がある。

 そんな昨今の問題を解決するため、ランニングビジネス最大手のアールビーズ社が新サービスを始めるそうだ。無駄になってしまった出走権を、代理出走ではない形で融通する「ゆずれ~る」というネットサービスだ。

 2015年4月にローンチされるらしいので、評判と経過を見守りたい。

さらに喫緊の課題、マナー違反。

 出走権問題に関しては、新サービスで対応できそうな可能性が高いが、さらに喫緊の課題は、マナー違反の問題である。

 たとえば、仮設トイレ以外の場所で用を足す行為、周囲のランナーに迷惑をかけるサイズの仮装、エイドステーションでの危険な割り込み……。眉をひそめたくなる大人げない行為が増加傾向だ。

 とりわけ、スタート地点で決められたブロック以外の場所に割り込むマナー違反には、多くの大会関係者が頭を悩ませている。

 参加者が1万人を越えるレースの混雑状況は普通ではない。また、ロスタイムを減らすため、できるだけ先頭に近いブロックに並びたい気持ちも分る。

【次ページ】 主催者の努力に負けず、参加者自身も襟をただそう。

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