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マオリ・オールブラックスと大接戦。
五郎丸歩の「儀式」が延びた。

posted2014/11/12 10:30

 
マオリ・オールブラックスと大接戦。五郎丸歩の「儀式」が延びた。<Number Web> photograph by AFLO

ペナルティキックの前に、恒例の「儀式」をする五郎丸歩。所属のヤマハではトップリーグ得点王を何度も獲得した名キッカーである。

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阿部珠樹

阿部珠樹Tamaki Abe

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AFLO

 友人に熱心なオールブラックスファンがいて、日本代表と対戦する時でも、躊躇なくオールブラックスを応援する。彼女は、去年オールブラックスがジャパンに54-6と圧勝した時も、「今日はだいぶ手加減してあのぐらいにしてやった」などと、吉本新喜劇の池乃めだかみたいなメールをわざわざ送りつけてきた。

 その彼女が「リードされて、胃が痛くなった。日本も強くなりましたね」と送信してきた。あんた、ニュージーランド人か。

 まあ、それほど11月8日のジャパンとマオリ・オールブラックスの試合は熱のこもった接戦だった。勝てると思ったんだがなあ(もちろん、当方はジャパンを応援)。

 マオリ・オールブラックスはニュージーランドのマオリ系の人たちだけで構成されたチームで、正式な国代表ではないが、実力は世界ランクで6、7位くらいに相当するともいわれる。ジャパンとは1週前の11月2日にも対戦して、8トライを奪い、61-21で一蹴していた。だから8日の試合は秩父宮に出かけていく気になれず、テレビで見ていたのだが、予想を覆すジャパンの健闘に「行っときゃよかった」と後悔した。

あと8分守り切れば大金星、という接戦。

 後半32分に逆転して、あと8分守り切れば大金星だったが、残り3分で、意表を突くクイックスローから中央に展開され再逆転のトライを許す。今までのジャパンなら、そこでがっくりして終わりという感じだったろうが、この日というか、このチームは少ない残り時間でもなんとか巻き返そうとボールをつないで攻めに出た。マオリ・オールブラックスも目の色を変えて守り、最後はボールをけり出して試合を終わらせた。「これぐらいにしておいてやる」とは口が裂けてもいえないような内容だった。

 1戦目とは面目を一新する試合については、新聞などでいろいろ分析がされていて、そこに付け加えるようなことはない。FWの陣形を1点に集中させず横に広くして、相手の突破に対抗しようとしたエディ・ジョーンズヘッドコーチの指示は的確だったし、局面での戦いぶりも「ひとりひとりの力が強くなったなあ」と感じさせるものがあった。

 スクラムはイタリアとやった時も安定していて感心させられたが、この日は相手を追い込み、認定トライを奪う場面まであった。ジャパンがトップ10レベルの相手からスクラムで認定トライなんて、古くからのファンなら感極まって落涙していたかもしれない。

【次ページ】 得点の半分近くを生み出した、五郎丸歩のキック。

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