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交錯するイタリアとアジアのサッカー。
デル・ピエーロは何を伝えたのか。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/11/12 10:30

交錯するイタリアとアジアのサッカー。デル・ピエーロは何を伝えたのか。<Number Web> photograph by Getty Images

ディアマンティ(右)に加え今夏よりジラルディーノが加入。年俸は約7億円と破格の待遇だ。

インテルを買収したトヒルと、モラッティの衝突。

 翻って、“入欧”も一筋縄ではいかない。

 ミラノでは、ジャカルタとの摩擦が起きた。

 10月下旬、インテルのマッシモ・モラッティ名誉会長が、突如辞任した。辣腕のエリック・トヒル会長以下、現経営陣から暗に長年の放漫経営についての批判を受け、マッツァーリ監督からも“過去の人”扱いされたことで、ヘソを曲げた前オーナーの辞任劇は思わぬ余波を生んだ。

「『あのフィリピン人をさっさと追い出せ、一体何ができるというんだ?』と、モラッティには言っていたのに。トヒルは、インドネシアからイタリア・サッカーの象徴的人物(=モラッティ)を貶めるために来たんだろう」

 8節終了後の生放送番組で、サンプドリアの会長マッシモ・フェレーロがぶちまけた発言は、あまりに無神経だった。

 さらに、トリノ冬季五輪招致委員会委員長を務めたこともある財界の要人エベリナ・クリスティリン女史が、新聞サイト『ハフィントン・ポスト』(イタリア版)上で「インドネシアの小っちゃなおデブちゃんは結局のところ、お金を持ってるのかしら?」などと揶揄するコラムを掲載した。

 会長職にある者が、公の場で同格の人間の国籍を取り違えること自体、無礼だと批判されても仕方ない上に、クリスティリン女史のコラムでは、赤ん坊を模した玩具人形にトヒルを喩える表現もあり、彼を小馬鹿にする意図があったのは明らかだった。

メディア、世論、リーグが揃ってトヒルの味方に。

 イタリアのメディアは、2つのケースを「人種差別にもつながる非常に不愉快な発言」と猛批判。発言主の2人は、すぐに「冗談だった」「悪意はなかった」と釈明こそしたが、公の場での謝罪は結局していない。

 世論は、感情的にならず無言を貫くトヒルの味方になった。イタリア検察も、人種差別事件の疑いで調査に乗り出した。

 そして11月になる前に、トヒルは後ろ盾を得た。リーグ機構のマウリツィオ・ベレッタ会長が、リーグとして全面擁護する声明を出したのだ。

「トヒル会長は、一人の人間としても投資家としても相応の敬意を払われるべきだ。彼のような外国人投資家の投資欲を削ぐような真似は、断じて為されるべきではない」

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