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セリエA残留争いの中心はこの2人。
サッスオーロのイタリア代表コンビ。
posted2014/10/30 10:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
首位をひた走るユベントスを止めたのは、当時最下位の伏兵サッスオーロだった。
7節のホームゲームで、FWシモーネ・ザザがアクロバティックなゴールを叩き込み、王者の7連勝を阻むと、値千金の勝ち点1をもぎ取った。
「俺たちがハマれば、相手がビッグクラブでも苦しめることができる。チームの一体感は去年より上だ」
最下位グループを脱出したサッスオーロは、2シーズン連続の残留を疑わない。攻撃サッカーを信条とする彼らには、名うての暴れん坊として知られるイタリア代表FWが2人もいるからだ。
W杯後のアズーリで頭角を現すザザと、来年のU-21欧州選手権出場を決めたドメニコ・ベラルディのFWコンビは、昨季計25得点を挙げた。
ザザは9月の親善試合オランダ戦でフル代表デビューを果たし、続いて先発したノルウェーとのEURO予選初戦で、代表初ゴールも決めた。
代表からクラブへ戻ってくると、ロッカールームで肩を組んだチームメイトたちが、ザザの帰りを待ちわびていた。肩を組んだ彼らは、声を張り上げて「マメーリ賛歌(イタリア国歌)」を歌い、地方クラブからの出世を祝ってくれた。
イブラヒモビッチ、アネルカに喩えられたザザ。
アタランタ時代の'09年3月に、17歳でセリエAデビューを果たしたザザは、イタリアの次世代を担う本格派センターフォワードとして将来を期待されてきた。
187cmの高さと頑強なフィジカルに加え、幼少時に嗜んだテコンドーのおかげで足元にトリッキーな技術も備えている。顎髭をたくわえていたときに喩えられたのは、イブラヒモビッチ(パリSG)と元フランス代表のアネルカだ。
ただし、欠点もある。
南イタリアの故郷バジリカータ州を少年時代に離れ、サッカーのために各地を転々としたせいか、トップチームのデビュー後に情緒不安定な時期を過ごした。派手なゴールを決める一方で気性も激しく、プレーに継続性を欠く難癖が今もときどき顔をのぞかせる。