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セリエA残留争いの中心はこの2人。
サッスオーロのイタリア代表コンビ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/10/30 10:40
今夏にはミラノでユーベとサッスオーロの首脳陣が会談。ザザ(右)とベラルディの2選手がユーベに移籍という話もあったが、いずれも残留した。
ユベントスが買い取りオプションを欲する2人の才能。
サッスオーロは、北部エミリア・ロマーニャ州にある人口4万人程の小さな町だ。
クラブオーナーのスクインツィ氏は、イタリア版経団連(Confindustria)会長を務める財界の大物。クラブ史上初のセリエAに臨んだ昨季開幕戦を前に、近隣の町レッジョ・エミリアのスタジアムを買い取り、自前で運営する。
「若手イタリア人を重用し育てるのが我々のクラブ哲学だ。開幕戦の先発11人は全員イタリア人だった。ザザやベラルディだけではない。(23歳の)FWサンソーネも合わせて、うちの3トップ全員がコンテ(=代表監督)に招集されるのも時間の問題だ」
オーナーが豪語するのには理由がある。
実は、ザザとベラルディには、王者ユベントスの息がかかっている。
ザザはもともとユーベのマロッタGMのお気に入り選手で、この夏一旦はサッスオーロの完全保有となったが、来年の夏にマロッタが望めば、1400万ユーロで簡単に買い戻せる契約になっている。
今なお両クラブの共同保有下にあるベラルディの場合、設定されている買い取り金額は1500万ユーロだ。
ビッグクラブへステップアップする道筋は、すでに半分敷かれているのだ。ただし、足りない残りの半分をもたらすのは、今シーズンの活躍次第であることを2人は十分理解している。
「偉大なFWの条件は、簡単なゴールを決めること」
指揮官の注文は、厳しくも温かい。
「偉大なFWになる第一の条件とは、簡単なゴールをきちんと決めることだ。おまえらは、まだまだフィニッシュの時に凡ミスが多いぞ!」
サッスオーロの秋は、9節エンポリ戦から11月末の13節ベローナ戦まで、残留争いの直接対決5連戦だ。
対戦するプロビンチャーレのDFたちにとって、ザザとベラルディは、決して伏兵などではない。サッスオーロが誇る代表FW2人は、確実に残留争いの中心で主役を演じるはずだ。