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<最新インタビュー> 中田英寿 「自分たちのサッカーの先に勝利がある」
posted2014/10/29 11:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Sports Graphic Number
『中田英寿 蹴球原論 日本サッカー“破壊”と“創造”』には
中田英寿氏のロングインタビューをはじめ、ブラジルW杯での
日本代表の戦いを分析した「ザックジャパンを斬る」、
モウリーニョやジーコなど数々のスターとサッカーの本質について
語り合った「レジェンドとの対話」などが収録されている。
巻頭の最新ロングインタビューでは、10月10日にモナコで行なわれた
「ゴールデンフットアワード2014」授賞式で「オールタイムレジェンド」に
アジア人として初選出された中田英寿氏が、日本サッカーの未来や
自身のサッカー観を、11のテーマにわたって徹底的に論じた。
Number Webでは最新ロングインタビュー、
「自分たちのサッカーの先に勝利がある」の特別編を公開します。
今年6月のブラジルW杯で、1分2敗のグループリーグ敗退を余儀なくされた日本代表。世界の強豪国との距離が浮き彫りとなる結果を受け、今後日本が目指すべき方向性として「自分たちのサッカー」を追及するべきか、「勝利にこだわるサッカー」をするべきかという二者択一の議論も生まれた。
しかし中田氏は、理想を貫くことと結果を追求することは両立するものだと考えている。
「僕はこれまで日本代表に対して、何度も『自分たちのサッカー』をすべきだという発言をしてきました。でもそれは、『負けてもいいから、理想のサッカーをするべきだ』という意味ではまったくありません」
“スタイルとは、勝利への最善の手段だからこそ貫くべきものであり、自分たちのサッカーを捨てて、勝ちを目指すというのは矛盾している”というのは中田氏が一貫して主張する点だ。
“日本のスタイル”とは何か?
では“日本のスタイル”とは何か? 中田氏は「目先の勝負だけにこだわるのではなく、50年後、100年後のために『日本のサッカーとは何か』を考え、確立していくべき時期に来ている」と長期的な視点を持つ必要性を説く。
だとすれば、日本のスタイルを確立するために、日本代表監督を日本人に託した方が良いのではないだろうか? 日本人の特長を活かしたサッカーをするためには、日本人の指導者の方が適しているのではないか? 選手として3度のW杯に出場した中田氏は、その豊富な経験から持論を展開する。
「代表はクラブチームと違って、限られた時間のなかで結果を出さなければならない。100点の戦術を80%の理解度でやるよりも、90点の戦術を100%理解してやったほうが、効果があるような気がします。日本にも戦術や指導に優れた監督はいると思いますし、僕と同世代のW杯を経験した監督も誕生してきています。アギーレ監督に変わったばかりですが、否定とかではなく今後の方針として、将来日本人監督でW杯を目指すのも面白いと思います」