今日も世界は走っているBACK NUMBER
データで読み解く日本陸上の現在地。
アジア大会で露呈した世界との差。
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byTetsuhiko Kin
posted2014/10/10 10:30
1998年のバンコク大会で高橋尚子が獲得した金メダル以来となる快挙を期待された木崎良子だったが、37km手前でジェプキルイ・キルワに引き離され、惜しくも銀メダルとなった。
日本選手が実力を出せなかった、わけではない。
次に注目したのが「入賞率」だ。
この数字は、全エントリー選手のなかから何割の選手が入賞できたかという競技パフォーマンス効率を表している。
データでは、少数精鋭と思われるバーレーンが中国をおさえて1位となる。そして、日本はインドにも負けて4位だ。
このデータをみて、アジア大会に出場した日本選手たちが、プレッシャーに負けて力を発揮できなかったのだろうと考えた。
しかし、その仮説は、次のデータ「PB(パーソナルベスト)・SB(シーズンベスト)達成率」をみて覆った。
この数字は、国際大会という大舞台で十分に力を出し切れたかどうかを表している。大舞台のプレッシャーに弱いと言われる日本選手の課題でもある。
意外なことに、強国の中国とバーレーンは日本より低い。
つまり、両国は本番で自己新記録をだせなくても、日本選手を大きく上回る実力を大会前からもっていたということになる。
このデータの1位はインドだった。モディ新政権で経済発展著しいインドは、アジア大会をかなり重要視していたのだろう。国が高額な報奨金などを準備していたのかもしれない。