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<「おもてなし」は世界一!?> NAHAマラソン徹底解剖。
text by
松山梢Kozue Matsuyama
photograph bySports Graphic Number
posted2014/10/07 10:00
NAHAマラソンを走る人は応援の声に背中を押され続ける。
稀有な雰囲気の大会はいかにして生まれたのか。現地を取材した。
好評発売中のNumber Do『完全保存版 死ぬまでに走りたい100の大会』より
知る人ぞ知る、沖縄の名物マラソンの特集を公開します!
今年で30回を迎えるNAHAマラソンは、中間地点までほぼ登り坂が続き、後半はひたすら下るというかなり過酷なコース。このレースでベストタイムを狙うのは難しいし、実際に完走率も異様に低い。そんな大会に県内外問わず多くのランナーが詰めかけ、今年は3万人が参加する。
一度走ればその魅力に取り憑かれ、リピーターが続出する理由はいったい何なのか。
出場経験のある人に聞くと、「応援がとにかくすごい!」と口をそろえる。沿道には42.195km絶え間なく地元の人たちの応援が響き渡り、スポーツドリンクはもちろん、黒糖や塩、サーターアンダギーや沖縄そばまでが振る舞われると言う。しかもほとんどが自主的に用意された“私設エイド”なのだ。
これまでホノルルやロンドン、シカゴやロサンゼルスなど世界中のマラソン大会を取材し、NAHAマラソンも'05年から9年連続出場しているという「ランニングマガジン・クリール」の編集長・樋口幸也さんも、「最初走ったとき、沿道の盛り上がりにはビックリした」と語るひとり。
「出場する前から噂は聞いていたんです。でも1mおきに子供たちが立ってアイスキャンディを配っている姿には感動しました。しかも走った後に完走メダルを首から下げていると、滞在先のホテルがスポーツドリンクをくれたり、居酒屋ではビールをサービス、空港のお土産屋に行くと店員のおばちゃんがちんすこうなんかをくれたりする。国内外いろんな大会があるけど、そんなサービスをしてくれる大会は見たことがないですね。ランナーを街全体が受け入れてくれている、オープンマインドな雰囲気がすごく心地いいし、だからこそ何度も行きたくなるんだと思います」