スポーツのお値段BACK NUMBER
米マイナーに、7億円の黒字球団!?
日本の二軍と全く違う経営方法とは。
text by
並木裕太Yuta Namiki
photograph byAFLO
posted2014/10/06 10:30
中島裕之もサクラメント・リバーキャッツに所属していた。マイナーリーグは、日本の二軍とは全く違う組織体系になっている。
14億円の売上げで、7億円もの利益を出すチームも。
2013年度の売上が最も多かったのは、サクラメント・リバーキャッツ(アスレチックス傘下、3A)で約14億円。その半分にあたる約7億円もの利益を出しています(下図参照)。
収入の平均が10億円ほど(2013年度)のJ2クラブでは、営業利益の平均はマイナス1900万円(つまり赤字)ですが、選手の年俸等を負担しないでいいという条件であれば同等の黒字になるかもしれません。
とはいえ、トップリーグの下部組織・育成組織であるMiLBがこのように高い収益性を誇っているのは驚くべき事実と言えるのではないでしょうか。
MiLBの経営力強化の取り組みはさらに進んでいます。主なプロジェクトは2つ。ひとつは2008年、グッズ販売に代表されるオンラインの権利を集約管理するBIRCO(Baseball Internet Rights Company)という企業を設立したことです。これによって、MiLB全体のマーチャンダイズ収入は堅調な推移を示しています。
一括管理でマイナーリーグの「ブランド価値」をあげる。
そしてもうひとつが、2012年に始動した“Project Brand”。その名の通り、リーグ一括管理によってMiLBの「ブランド」価値を上げることで、スポンサーシップ収入の拡大を狙うプロジェクトです。
例えば橋本さんがかつて所属したグリズリーズの本拠地は年間約1億円で球場の命名権を売り、大きな収益源とすることに成功していますが、スポンサー収入は球団間で格差が生まれやすい面もあります。
そこでProject Brandがスタートさせたのが、MiLB全体(「ルーキー・リーグ」「ルーキー・アドバンスド」を除く約160チーム)と包括的に契約する新たなスポンサー枠でした。アメリカ全土に展開する大手企業をターゲットとして年間5億円ほどのスポンサー料を設定して営業活動を始め、今年5月にはカーショップ大手「Pep Boys」が第1号の契約を結んだと発表されました。まさにMLBが得意とするリーグビジネスのノウハウを生かして、着実に業績を拡大しているのです。